マジカルミュージック

晴れ晴れとした大海原へ

エピソードの総文字数=1,814文字

    遂にオープンキャンパス当日になってしまった。

    残念ながら夕陽の調子は、本調子ではない。何となく完璧に持っていっただけなのだ……。完璧じゃないままの本番……。まだ練習時間がある。夕陽はソロの練習を諦めなかった。諦めたらそこで試合終了だから、という有名な名言がどこかの漫画にあったはずだ。だから、歌音も諦めるつもりは更々ない。

2017/06/26 19:01
    嵐の海原をさ迷う航海士を救うんだ。

    歌音にしか出来ないこと……。

    だから、歌音は……出来ることをやるだけだ。歌音の指揮で彼の心を開く!!    空は相変わらず曇天の空……。所々、晴れ間が見えるがすぐに青空が掻き消されてしまう。そんな相変わらずの心を示す夕陽みたいだ。

    晴れそうで晴れない空……。嵐が終わりそうで終わらない海原……。

2017/06/26 19:23
    裏切ったかのような世界観が広がっているだけであった……。

    歌音は、指揮棒をとり、構える。周りは楽器を構え、指揮棒を見つめる。

    夕陽は歌音の隣につき、クラリネットを構える。夕陽とのアイコンタクトはうまくいった。指揮棒を振り下ろすと、低音楽器隊のサウンドの刻みが始まる。少しして夕陽のソロが始まる。

2017/06/26 19:47
    踊るかのような滑り出しのソロ……。

    いつもうまくいかないソロが、うまくいっている。スキップするかのように踊るソロは、終幕を迎え、皆にバトンが渡される。

    曇天だった空に一筋の光がさし、空が晴れ始めた。後、もうちょっと……。

2017/06/26 19:51
    他の楽器にソロが渡り、また最初のサウンドに戻ってくる……。

    皆、楽しそうに吹いているが、感情を感じない。頑張って吹いている人もいるが、ずっと下を向いて吹いている人もいる……。これじゃあ、ダメだ!!    再び夕陽の最後のソロがやってくる。

    次こそ、晴れ渡れ!!    嵐の終幕を……。

2017/06/26 20:03
    最後のソロを夕陽は踊るように吹き上げ、またユニゾンで吹き上げ、曲は終演を迎えた。空は晴れ渡っている。夕陽もスッキリしたような表情を浮かべている。

    やったー♪    やったんだ、歌音♪    嬉しくて仕方なくて……

    次の曲「オーメンズ・オブ・ラブ」も「故郷の空」と同じ勢いでやってしまった……。これだけが反省点だ……。

2017/06/26 20:08
    楽器の撤収作業に入っていると、後ろから声をかけられる。振り返ると夕陽が立っていた。
2017/06/26 20:11
本当に……歌音さんは……すごい……。俺を解き放って……くれた。他の人は……何も……してくれなかった。本当に……グズか……バカ……だね
2017/06/26 20:12
    今、何かすごい毒のある言葉を夕陽が発したような……。
2017/06/26 20:14
クズやバカではないよ、夕陽くん。……って、夕陽くんって毒舌だったの?!
2017/06/26 20:15
そう……だけど……。言わなかった……っけ?
2017/06/26 20:16
いやいや、何も聞いてないから!!
2017/06/26 20:17
    まさか夕陽の口から毒のある言葉を聞くとは思わなかった。

    それだけは、ショックだったかな?

2017/06/26 20:17
俺は、……天国の師匠に……音楽を……届ける……。師匠が……喜ぶような……音楽を……作るって……決めたから……。だから、……俺たちの為に……歌音さんに……指揮を振って欲しい……
2017/06/26 20:18
私でいいの?
2017/06/26 20:20
歌音さんの……指揮は……分かりやすい……。俺は、……歌音さんの指揮で……全国を目指したい……。……ダメかな……?
2017/06/26 20:21
大歓迎だよ♪    私についてきたら全国に必ず行けることを証明してみせるわ!!
2017/06/26 20:22
歌音さんも……最初の頃から……だいぶ変わった……
2017/06/26 20:23
どこが?
2017/06/26 20:24
圭くんを助けてから……。クラスの人たちと……関わりを持ち始めた……所。最初は、……誰も寄せ付けない……オーラ……出てた……。……でも、……どうしてこんなにも……俺たちの……為に必死なの……?
2017/06/26 20:24
私の使命だからかな?
2017/06/26 20:26
歌音さんらしい。……答え聞けて……俺は、嬉しい……
2017/06/26 20:26
満面の笑みを浮かべる夕陽を歌音は、初めて見た。

こんなにも笑顔の夕陽を見たことがない。

2017/06/26 20:27
夕陽!!    お前、歌音と喋っている暇あったら、バスドラム運ぶの手伝ってくれ!!
2017/06/26 20:28
了解……!!    今行く……!!
2017/06/26 20:28
    夕陽は圭と一緒にコンサートバスドラムの撤収作業に戻っていった。これで良かったのだ。

    嵐は止み、波も穏やかになった大海原を航海士を乗せた船は進む……。晴れ晴れとした大海原へ……。


    梅雨ももうすぐ終わりそうだ。そんな気がした。……コンクールも近づいている。歌音たちは、本気でいかないといけない気がしてきた。

2017/06/26 20:29

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