フェンリル娘と始める異世界生活

22話:群れ

エピソードの総文字数=3,881文字

フェリルは街に出た頃に目が覚めた。
耳元でいきなり名前を呼ばれて心臓が飛び出しそうになった。

瞬時におんぶスタイルを変更し、膝もちに変更した。

フェリルちゃんのおしりは触ってなかったよぉ。

おっぱいはしかたないよぉ。

すっとシューマの背中から降りるフェリル。
シューマ……ありがと……
いやいやいや! これくらい仲間だったら当たり前! あっ、仲間って思ってるのはこっちだけだっけ? ははは
ん……。いいよ。シューマの仲間になる。…………シューマの群れのメスになる……
ほんと! 仲間になってくれるの!? うれしいよフェリルちゃん!
後ろの方はちょっとぼそぼそぎみだったのでシューマは聞き取れなかったが、重要なところはしっかり聞けたのでモーマンタイだった。
フェリルの手を握りぶんぶんとふる。美少女と握手とか現代だったら数万はとられるところだ。
ん……
フェリルはほんのりうれしそうにした。尻尾はだいぶふりふりしていた




街中に帰って来た。
人は自分たちの格好が、返り血にまみれていることに苦笑しあった。
どろどろになったもんだなあ……
死んだ魔物は黒靄になって消えてくれるのに、かぶった血は消えてくれないからなあ
フェリルちゃんが一番すごいことになってるよ
ん。どろどろ……
フェリルは眉根をきゅっとよせている。
門前市までの辛抱なんだな





5人は門前市まで到達すると、ただの街と門前市が始まる境目にある建物へと向かった。
開拓者用の垢落としの館だ。


そこで無料でお湯を使った簡易シャワーを使える。高性能な瞬間湯沸かし魔道具というものがあるらしい。便利だなあ。

併設している「預けどころウルルン出張所門前市支部」と書いてあるロッカーに適当に荷物を預ける。ふたを開けて、ものを入れて、ふたを閉めれば、個人契約されたウルルンボックスに転送されるしくみらしい。これで盗難の心配はコンマ1パーセントまで落ちる。便利すぎる。
聞いた話によるとこのシステムは「【次元王】ウルタール」という存在が関与しているらしい。結界の時の話の「王」と関係するのかな?






各々思い思いにシャワーを浴びて、血と汗を流すと、同じくロッカーから市民服を取り出し、着替えて出てきた。

三人衆はすでに出ていた。カラスの行水だ。

三人衆はオーソドックスな市民服だった。

市井に紛れれば、一瞬で見た目町人に早変わりする。まあ開拓者臭はそう簡単には消せないのだが。

エディはむきむきで騎士くずれのようで、クラークはむきむきすぎて裏の住人にもみられそうだ。ブラームスは普通に恰幅のいい商人だがその理性的な立ち居振る舞いに一般人との違いを感じる。

ん。さっぱり
血が落ち本来の輝きを取り戻した灰銀の長髪をさらりと流し、汚れた下服を取り替え、女の子用の市民服に着替えたフェリルが最後に更衣室から出てきた。
おおお……
思わず、うなり声を上げてしまった。


フェリルは肩口まで大きく見える形に弧を描いた襟元のノースリーブとすらりとした健康的な足が根元まで見えるような赤くて短いひらひらスカートを穿いて出てきた。

ニーハイもふとももまで覆うもので、片方が白、もう片方が白と灰のストライプだった。

絶対領域!絶対領域!

茶色のブーツで全体像をぴしっと引き締めている。

しかしぱっと見、肌色成分が多い。


いい……
ん?どうかした?
フェリルは不思議そうに首をコテンとかしげている。
シューマはフェリルの顔を眺めていると自然と視線が下に動いていくのを止められなかった。
(しかし大っきい……)
薄手の服に替わったせいか、さっきの色気のない内服と比べて今度は女の子女の子している服だからか大きな胸がぐぐぐと押し上げて、谷間がのぞき込めそうになってエッチさレベルが上がっていた。
(これのやわらかさをさっき背中に感じてたのか……)
(いかんいかん!僕の半分も生きてない女の子に対して思う感想じゃない!)
シューマは思い直して仕切り直しした。
じゃあ、生還を祝ってご飯食べに行こう!


眠いし疲れているのもあるが、その前にお腹に何かいれないとどうにもならない。

ん!!
フェリルが即座に反応する。ほとんど食い気味だった。耳と尻尾がピンと天をつく。
そうするんだな!
一日何も食ってないくらい腹へってるぞ!
俺の筋肉も栄養を欲している!ハリーハリーハリー!!


満場一致で食べに行くことに決めた。







その後。

5人は手頃な店を見つけ、深夜テンションで食べまくり騒ぎまくり、先の戦闘の感想を言い合ったり、報酬やランクアップの話に花を咲かせていた。

それから男4人は酒を浴びるように飲んだり(フェリルは飲まなかった)、フェリルが食後に頼んだ氷菓子を一気に食べて頭がキーンとなってしまい、「う゛~」とうめきながらシューマに頭をぐりぐり押しつけるシーンもあった(シューマは興奮しながらフェリルの頭を右手で撫でた。酒で気が大きくなっていたシューマの左手はフェリルの腰元をもぞもぞとまさぐっていた。


それをみた三人がやいのやいのとはやし立てる。
もしかしてアニキ! 今夜やっちゃうの?今夜やっちゃうのぉ!?
ピンチを救った英雄はヒロインと熱い一夜をともにするのは人類誕生からの決まり事なんだな
ええええ!! そんなつもりはないよ!! 変なこと言わないでよ!
ん……。ないの……?

フェリルはシューマにぐっと近寄り、感情の見えない瞳で上目づかいでじっとシューマを見つめる。フェリルの大きな胸がシューマの胸板でふにゅりとつぶれて服のすきまから胸元が強調される。フェリルの耳先がシューマの首もとを通過し、こしょこしょっとくすぐった。

シューマはぶるりとした。

え、えええ!?ふぇ、ふぇりるちゃん……それどういう……

シューマは息苦しいほどどきどきしてきた。呼吸も乱れている。酒が頭に巡り、血流が脳に届くのが感じられる。

その気があるといったらどうなるのだろうか……。もしかして童貞卒業できたりするんだろうか……!


フェリル姉ぇはその気みたいだぞ! やったなアニキ明日はお祝いだ!
フェリル姉ぇが俺たちのパーティに入ってくれたのはすごいおっきいからなー。

もう毎日お祝いだな!

なぜか三人衆は10歳以上歳下の女の子を姉ぇ呼ばわりしていたが、シューマのアニキのいいひとになりそうだからフェリル姉ぇと呼ぶんだぞ!とかいって酒の勢いで決まってしまった。

シューマも内圧対応時にフェリルと一緒にいるのはどうかと提案した以上、放り出すことはできない。

改めてフェリルにパーティの参加を申請するとフェリルは二つ返事で了承した。


あ゛あ゛~。いいな゛~。アニキはふたりでぱこぱこか~!俺も彼女ほしぃよお゛お゛お゛お゛~。ぱこぱこ!ぱこぱこ!
両手を腰前にだしへこへこと空腰をふるエディ。下品すぎる。
な、なにいってるんだよバカエディ!酔いすぎだって! 女の子がいるところで!
なにカマトトぶってるんだよ~アニキ~!童貞じゃあるまいし~!
えっ…………
えっ…………。アニキそうだったの…………すまん……
一瞬にしてお通夜状態。
いや……謝らなくてもいいよ……ただの事実だし……
ま、まだ18なんだもんな。全然遅くないって! それにフェリル姉ぇで童貞卒業できるなんか幸せもんだぞ~?ハハハ!クラークなんてなあーー

(まあ、僕は実年齢30なんすよね、ハハハ)

童貞がなんだアニキ!そんなんじゃだめだぞアニキ!! 男なら女を無理矢理奪うくらいの勢いでものにするんだぞ!!
トラウマ持ちの素人童貞が言う言葉じゃないんだな
うわああブラームス思い出させるなよぉぉぉぉ!?


ブリッジしながらこの世の終わりのような絶望的な嘆きを叫ぶクラーク。

(クラーク……おまえ……。がんばったんだな……。すごい一体感を感じる。ズッ友だょ)


ん。ごろごろ
フェリルはシューマの胸の中でぐりぐり動きご満悦状態だった。酒も飲んでいないのに泥酔しているみたいだ。すごくかわいい。


 (これ僕の宿屋に連れ込んだらどうなるんだろう?)

シューマの中の悪魔がささやく。
あー。フェリルちゃんは今どこに住んでるの?
まずはとっかかりから。
ん。馬小屋
とっかかりからえらいのがきた。
ーーーえ? いやいや、そうじゃなくて、住んでる宿屋とか、そういうとこはどこなのかなって聞きたかったんだ
ん?ここの近くの空っぽの馬小屋を間借りして寝泊まりしてる……
ーーーえ゛っ!!? それ本気で言ってるの?
ん。そう
じゃあその格好で藁とか敷いて寝てるの?
ん。寝るときはもうちょっと薄着
それよりもっ!?
それおそってくれって言うようなものじゃあ……?いやそれ以前の問題……
ん。そういう人が来ても狼耳が生えてるってわかったらみんな逃げていくよ……?
……なんで?
からっぽの馬小屋に寝てる狼耳なんて宿を追い出された危険なフェンリスヴォルフレイスって言ってるようなものだから。

エッチなことをしようとしても死ぬかもしれない可能性が怖いから手をだそうとしないし

重い話をしているのに、若い女の子の口からエッチという単語が出てきただけでエロい気分になってしまうのは僕が悪いのだろうか。いや、まじめに。
じゃあ、ぼ、ぼぼぼぼ、僕の部屋にく、来るとかどぅ……? 宿屋の親父さんにはなんとか言ってフェリルちゃんも泊まれるように頼み込むからねぇ?
思いっきりどもった。しかも言い方が粘っこくなってしまった。きもいとしか言えない。失敗した。失敗した。失敗した。
ん……。いいの……?


忌避感や嫌悪感がみられない純粋な表情。幼い女の子の透明感すら感じられる。

(なんやこの娘めっちゃええ娘や僕のものにしたい)


シューマは肯定の意を示すために激しく頭を縦に振った。それしかできなかった。

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