姉弟日常

断捨離の姉弟

エピソードの総文字数=2,042文字

季節はめぐり、今は十二の月
新年を目前に控え、とある国のとある街の外れ、とある倭風の小さな屋敷で、
とある二人が向かい合っていた

と、いうわけで!
大掃除をしようと思う!

唐突な提案ですが姉さんの言うことに間違いないので了解しました
姉さんはこたつでミカンでも食べていて下さい
全部やっておきますので

いやいやいや!?どうしてそうなる!
私は二人で大掃除をしようと言ったのだぞ
それが何故八滝一人にやらせることになる?
姉さん八滝のそういうとこ、メッって思ってる!

メッと思われていることは遺憾ですが……
だって姉さん、掃除苦手じゃないですか

うぐっ!!
そ、それは……

普段のお掃除も、ホウキをかけたら床が削れて逆に鰹節状の木くずが生成され、雑巾をかけたら床板がめくりあがり、
お風呂掃除をしたら水遊びになって、気づいたら全身ずぶ濡れになっているでしょう

最後のは掃除が苦手とかそういうのじゃないな!
自分のことだけど!
でもでもでも、苦手だからといって丸ごと弟になげてはお姉ちゃん失格なんだぞ~
ぜったい私もやる!むしろ八滝に掃除のなんたるかを指導してもらいたいぞ!

むぅ……僕から姉さんに教えることなんてこの世に一つも存在しないのですが……
姉さんの面子が立たぬということでしたら意固地になってはいけないですね

わあい!お姉ちゃんを立ててくれる聡い弟でよかった!
よーし、じゃあまず一番散らかっているところから順番に片付けていこ~
ピカピカの家で年越しするのだ~

はい、頑張りましょう
では、一番散らかっている部屋というと……

数分後……

姉さん、このタヌキの置物、捨てていいですか

ダメだぞ!その信楽焼のタヌキさんは、キバネズミを退治したときにお蕎麦屋さんにもらった大事なものなんだ
お部屋の床の間においといてくれっ!

分かりました。よいしょっと……
では、こちらの邪神像的な禍々しい捻くれた石膏像はどうしますか
除霊なら僕も出来ると思います

じゃ、邪神像じゃないぞ!
そっちは帝都の芸術科の学生くんが依頼料の代わりにくれたやつだ
私にはゲージュツはよくわからんが、一生懸命作ったものだから棚の上に飾っておくんだぞっ

その学生さんはいつかきっと悪魔の依代になる作品を生み出して
しまうと思うので、早急に別の道を模索してほしいです
この像の周りだけ景色が歪んで見えますし

じゃあ、こっちの紐状の物を束ねたものは捨ててもいいですか?
というか、なんですかこれ

あーそれな!水着!
イムティにもらったやつ!

分かりました、捨てます

な、ナニユエーッ!?
すっごく強い水着なのに捨てたらいけないぞっ

いいえ、あの人が寄越したもので、こともあろうに直接肌に触れる物なんて持っていてはいけません
捨てましょう
でないとあの尻軽病が移ります

シリガルビョーってなんだ!
貰った物は大事にしろと父上も言っていただろう?
これはタンスの強い服ぞーんに入れておくっ

そのゾーンの服についても少々思う所あるのですが……むぅ

しかし、姉さん、さっきから全然捨てられていませんよ
これでは我が家で一番大変なことになっている姉さんの部屋の片付けが終わりません

うぅ……だって、大事な物ばっかりなんだぞ……
どれもこれも思い入れがあって捨てるなんてとんでもないのだ……

姉さんのそういうところは一万七千個ある姉さんの美点の
一つですが、どう考えてもこの部屋の収容量よりも上です
何とかならないですか?

どうしよう~片付けたい気持ちは溢れているのだけど!うーっ!
こっちも取っておきたいし、こっちは今後使うかもしれないし……うううっ!

(これ、片付けられない女の人の典型的なやつだ)

む、むぐぐぐぐぐぐぐ……こうなったらかくなる上は……
増築……っ!?

捨てましょうね

はい……頑張ります……
じゃああっちのぬいぐるみを少し孤児院に預けることにする……

それはいい事だと思います
他にも、もう読んでいない絵本が棚にあるので、それも持っていきましょう

うむ、分かった!
そのほうがきっと本やぬいぐるみも喜んでくれるよな……
じゃあ孤児院に渡せそうなものをまず集める!

(よし、捨てようとすると渋るけれど、誰かに譲るなら姉さんも断捨離できる)
はい、じゃあ僕はそれらを入れる箱を取ってきますね

さらに数分後……

ね、姉さん……これは……?
謎の毛皮が発光して室内が光に満ちているのですが……!!

黄金羊の毛皮の絨毯!
すっごいだろ~暗闇でも金色に輝いているのだ
帝国七大宝物の一つらしいぞ!よく知らんけど

アトラ山の長耳族から竜退治で貰ってなぁ~
フッカフカで温かいから、雪が降ったらコタツの下に敷こうと思っていたのだが、これも孤児院にあげたほうがいいよなっ

そ、そんな国宝的なもの投げて寄越されても、絶対持て余しますからやめましょう……っ!

後日、市内の孤児院宛に謎の人物からたくさんのぬいぐるみと絵本が、
国営博物館には輝く黄金の毛皮が届いたと帝都新聞に掲載されているのを読み、
ギルドの片隅で嘆息する少年と、今度はギルドの大掃除を手伝って家具を運んでいる少女がいたとかいないとか


おわり

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