ハロウィンナイトカフェ

カウンター5「砂糖を沢山入れた珈琲のような」南雲 彩音

エピソードの総文字数=936文字

「砂糖を沢山入れた珈琲のような」 南雲 彩音

トリックオアトリートー!お菓子をくれなきゃ悪戯しちゃうよー!

お菓子ないんだ、ごめんね?それに、君からの悪戯なら大歓迎。

キャーー♡やだもう~~♡
(またやってる……あれを見るのも3回目だ。毎年繰り返されるハロウィンの口説き文句。言われた女は顔を赤くする。あいつと出会ってから、毎年やっている。

きっと出会う前からやっているのだろう。あいつにとってあれが何回目なのか分からない。きっと100回以上、300回以上?吸血鬼の命は永遠で、あいつは300年以上生きているから、きっとそれくらいはあり得るだろう。飽きないのだろうか。)

はあ……甘い、甘すぎる、胸やけがしそう

え?甘いって、その珈琲ブラックでしょ?甘いわけないでしょ

違う、お前の歯の浮くようなその台詞。言うのも飽きない?ほんとはお菓子持ってるくせにさ

持ってるって言っても自分の用の飴だよ。他のやつにあげるなんて嫌に決まってるでしょ?なくなったら嫌じゃん

それがハロウィンなんだけどなあ……ハロウィンのたのしみ全然味わってないね、お前

えー?ハロウィン楽しんでるけどなあ。そういうお前は楽しんでるわけ?

楽しいよ、すごく

(お前といるだけで楽しい……って意味だけど、それは言わない)

そうなんだ?毎年お前とこうしてこのカフェでハロウィン過ごすの俺も好きだなあ、もう3回目か

俺とは3回目だけど、お前はもっと前からそうやってハロウィン過ごしてたの?

まあね、100年くらい。

(俺には分かる。同じ吸血鬼だから。

こいつは、人間の女を愛してその血だけを吸って、他の血を吸えなくなるのを恐れてる。

それ故に、殺してしまうかもしれないことを。

だから、真剣に恋をしない。

……恋をするなら、死ぬこともない俺にしとけばいいのに。まあ、同族、それも男の血なんて飲む気はないだろうが。)

ん? どうしたの~?
……トリックオアトリート
……お菓子をくれなきゃ?
悪戯する

ふふっ、ごめん。お菓子持ってないんだー

うそつけ
あはは、だからあれだよ、悪戯してもいいよ。それとも、飴とどっちがいい?

飴なんかいらん

あははっ、りょーかい!

俺は200年生きてきて、この日初めて悪戯というものを覚えた。あと、ハロウィンの楽しみと、こいつの新たな一面も。

  • ツイート
  • ツイート
  • シェア
  • LINEで送る

ページトップへ