いかに主は導きたまうか。

10.2 Deciplin 心。

エピソードの総文字数=1,589文字

2. 営業の仕事:

  やがて、ボクは営業に出されることとなる。うちの営業は少し珍しかったと思う。[見計らい]という形だった。要は商品を預けてしまうのだ。そのお陰で、お客さんは、”じっくり”時間をかけて、内容を確認してから購入を検討することができた。これの面白い所は、[当て込み]で持ち込みがなされているということだった。本/雑誌は科学の最先端に関わる研究報告なので、所詮中身なんか分かりょうはずがない。営業マンは本のタイトルから「このテーマなら、あのお客かな?」ぐらいでしか目処をつけれなかった。*他は、新刊案内を自社で作り、これから発注をいただくといったラインが別にあるにはあった。

  ボクが任されたお客さんは京都、滋賀のメーカーさん達だった。当然、業界の海外発信の最新情報への関心は高い。業界雑誌の届けが、週間ベースであった。*雑誌は固定収入なのでとてもありがたかった。そのお届けの機会に色々と本を持っていくわけだ。窓口は大抵、知的所有権の管轄部署だった。

  業界のルールとして、一旦購入を決めて納品があった場合のキャンセルはできないというのがあった。特に雑誌は厳しかった。あるメーカーさんが、ボクに「キャンセルする」と雑誌を戻してきた。社内で同僚に相談するも、みな黙(だんま)りだった。仕方がないので、国内のエージェントに電話してみると、「こちらに送って下さい」との回答がいただけた。このことがあってから、このメーカーさんへの持ち込み本は、しばらくは全て引取(買取)が起った。*決して恩義を感じたからではない。たかが、薄い雑誌一冊の話だが、遠く海外から取り寄せされたものであり、売値も「何で、こんなに高いの?」というものだった。電話でのエージェントとの交渉は、ボクには、とても勇気のいるものだった。持ち込み本が全て引き取られたのは、予算の未消化分が急に現れてきて、「なんでもいいから使い切りたい」といった事情があったようだ。

補記:
やっぱり注文が一番ありがたい。自社の新刊案内では遅いので、ボクは出版社からのものをコピー機でボク仕様のものを”勝手に”作ってバラまいていた。野洲のお客さんは「これ下さい」と一冊にB5一枚の新刊案内をボクに戻してくれた。

こういった無責任なキャンセルは多い。上手く捌(さば)けないケースでは本は[資産]としては計上されるが、本棚に居るだけの〈死産〉となる。会社にはこれが、やけに多いことにやがてボクは気付く。

ボクにはジンクスがある。怒ったり(拒否)、嘆いたり(放棄)だけではなく、勇気をもって、ことにあたり整えることができた場合には、思いも知れない報酬が事後に発生する。これは、大きなことにも小さなことにもいえる。それらは今後にて....。

担当者は知有権のトップ方が多かったが、若い女の子のところもあった。さすがは有名企業の出自の方々で一味違った。N◯Cの方はバレー選手の方で美人で大きかった。人間としても大きく、大らかで、なにより体から発せられる活力とも呼ぶべき雰囲気が印象的だった。*身長差がなければ恋してたかも。◯本○池の方は笑いのセンスがボクと合った。営業最後の日に、「じゃあ閉めるね」とボクが言うと、『テケテンテン』と寂しそうに合いの手を入れてくれた。*子供がいなかったら交際を申し入れていた。N◯Gの受付の方はボクが丁度変節期にあった為か、訪問時の挨拶がおかしくなり、朝から笑いが止まらないといった状態にしてしまった。発作のように笑っておられた。「ごめんなさい」。*とても苦しそうにされていた。島◯◯作◯の親父様達は、(冗談で!)、接待につれていけと毎度あの手この手をみせてくれた。*もっとも素晴らしい会社であったとの印象が残っている。敷地へ入ったらもう別世界の雰囲気だった。









  

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