別乃世望は別の世を望む

結末へ(11/5分割・微修正)

エピソードの総文字数=2,258文字

・・・さて、まずは現場に戻ってみたわけだが。
あの後、螺理多の車に乗せられて、別乃世たちはあの日の現場に辿り着いた。


別乃世が、人食いになりそこねたあの場所に。

さすがに、ここにはいないよな。
あちらに倉庫がありますが、使われてる様子はありませんでした。
アーマには、利便性を考えて霊体状態になってもらっている。


普通の人には見えないし、今のように壁を通り抜けて建物の中身を確認することができる。

さてどうするか。

聞き込みをするにしても、名前すら知らんからな・・・

一緒にいた男性の方は分かりませんが、女性の方は、たしか「レイコ」と呼ばれていました。
え、マジで?
はい、間違いありません。
やるな、アーマ。


じゃあとりあえず、そこらへんのちゃらそうなやつらに聞き込みしてみるか。

・・・前々から思っていましたが、別乃世さん、かなりアグレッシブですよね。


決断が早いというか、動きに迷いがないというか。

そもそもネットの書き込みからトラックに突っ込むぐらいだからな。
そうでした・・・
・・・よし、あそこの二人組に聞いてみよう。







―――で~、アイツ、どうしようもないんだって。
え~、そうは見えないけど。
マジマジ。
あ~、ちょっと失礼。
え、なに。
キモいのきた。
キモくないからちょっと聞いて。


このへんで、ちゃらい男と絡んでる「レイコ」ってコを知らないか?

年はキミたちと同じぐらいなんだが・・・

「レイコ」!?
・・・あなた、警察関係の人ですか?
いや違うけど・・・

なんで?

あ、えっと・・・
―――バカ!

余計なこと言うなって!

あー・・・

警察関係ではないが、探偵事務所の者ではある。


事件に絡むような話であれば、あとで警察に情報を渡すこともあるが、キミたちが隠し事をするようなら警察にも怪しい二人組がいたと・・・

べ、別にそんなの大丈夫だし!

ウチら、レイコの件には全然絡んでないんだから!

・・・いやヤバいって。

別件逮捕ってやつでパクられるよ。

・・・まぁよく分からんが、俺が聞きたいのは「レイコ」という女のことだけだから、キミらが他にどんなことをしてようが、あとは知らん。


―――なので、レイコについて知っていることを教えてほしい。

・・・ウチらが言ったって、誰にも言わない?
言わない言わない。
・・・実はここ最近、レイコと付き合いのあった奴らと、連絡が取れなくなってるツレがいるんだよね。
連絡が取れなくなってるというと、行方不明?

まぁね。


どいつもロクに家に帰らずに遊び回ってるような奴らばっかだから、捜索願いとかは出されてないと思うけど・・・

ウチらの友達だけじゃなくて、他の奴らも突然連絡が着かなくなったって。


で、連絡が取れなくなった奴らの共通点が、「レイコ本人」か「レイコの連れ」に呼び出されてるっていう・・・

なるほど。

・・・レイコってのはどんなコ?

アタシら直接のツレじゃないから詳しくないけど、ここらじゃ男連れ回して結構ムチャやってるみたい。

それもヤンチャやってる程度じゃなくて、結構ヤバい系の。


正直、あんまり関わりたくはないね。

今いる場所は知らないけど・・・

レイコのグループが溜まり場にしてるビルなら知ってるよ。


まぁみんな知ってるから、地元の奴らは近づかないけど。

その場所を教えてくれ。

あと、レイコのフルネームは?

阿波津。

阿波津・怜子だよ。

阿波津か。

ありがとう、助かった。

いいけど・・・

警察にはモチロンだけど、ウチらが言ったってことは、絶対に誰にも言わないでよ?

怜子のグループ、マジでヤバいんだから。
分かっている。







別乃世は、怜子のグループが溜まり場にしているというビルに向かった。

さて、ここだな。
いかにも廃ビルといった感じですね。

では、中の様子を窺ってきます。

ああ、気を付けて。

人から見えてないからといって、油断しないように。

はい、気を付けます。






・・・・・・
お待たせしました。
ああ、どうだった?
今は誰もいませんが、大勢の方が使っていたような形跡があるのと・・・

床に血が飛び散ってるような部屋がありました。

血・・・

どのくらい?

・・・床一面に、ですね。
・・・
あ、あとですね、重要な手掛かりになりそうなものを見つけましたので、窓から落としておきました。


たぶん、あちらの方に・・・

重要な手掛かり?
あ、ありました、これです。
と、アーマが差し出したのは二つの財布。

金目のものは既に抜かれており、中には使えそうもないカード類のみ。


その中に、持ち主のものであろう運転免許証が入っていた。




・・・杵崎と守上の、か。

確定だな。


俺がゾンビにした阿波津・怜子が、さらにゾンビを増やしている。

それも、ビルの中の状況からして大量に。

・・・・・・
・・・一度、螺理多に連絡を取ろう。

向こうの状況と合わせて方針を考える。

互いに電話に出られない状況である可能性を考慮し、連絡は探偵事務所の電話にすることになっていた。
・・・出ないな。
まだ時間も早いですし、戻ってないのでしょうか。
・・・そうだな。

家に戻って待機しよう。

その後、自宅に戻った別乃世たちは、一時間置きに事務所へ連絡を入れたが電話は繋がらず。

18時頃、ようやく豊秩が電話に出たところ、先程二人で事務所に戻ったが、用事があると言って螺理多はすぐに出掛けたとのことであった。

用事?
はい。

小一時間で戻るとおっしゃっていましたので、戻りましたら御連絡致します。

頼む。
だがしかし・・・

その後、待てど暮らせど螺理多からの連絡はなく。


そろそろこちらから連絡を入れようかと思い始めた22時。



所長が・・・

螺理多さんが帰って来ないんです・・・

豊秩からの、悲痛な連絡が届いた。

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