黄昏のクレイドリア

9-1

エピソードの総文字数=820文字

…………。
…………。
ほら、着いたわよ。
さざめく木々が
空気を揺らしている中、
3人の目の前に、目的地の
屋敷の扉が立ちはだっていた。
……此処が、スクオーラか。
でっっけぇ~~!!!!
そのスケールを誇示するように、
建物はセシルの感嘆の声を
跳ね返した。
…………。
(石の魔力が尽きてたから、
 ロージアで話したきりに
 なっちゃったけど……
 フィリカなら、許してくれるわよね)
足音か。
留守ではなさそうだな。
……やべっ、今の
聞こえてたってことか?!
何を慌ててるんだ?
どうせ呼ぶつもり
だったんだろう。
馬鹿、こーゆーのは
第一印象が大事なんだよ!
これじゃオレ、ただのガキじゃねーか!
(ガチャッ)
(そ~~っ)
あー…………

た、ただいま。
フィリカ――――
おかえりなさい、
カノン~!
ぐぇッ
覗き込むように
小さく開けていた戸を開け放ち、
少女はカノンへ飛びついた。
もう、どうしてあれから
連絡をくれなかったんです?

私……カノンが吸血鬼さんに
食べられてしまったんじゃないかって、
気が気じゃなかったのですのよ?
…………。
…………。
ん?
視線を感じたのか、
カノンから身を離すと、
少女はあっけに取られた様子の
イーリアスとセシルを見やった。
あらあら?
貴女から聞いていたよりも、
お連れの方が一人多いですわね?
よっ!
邪魔するぜ、ねーちゃん――
――って、あれ?
……あんた、
エルフなのか?
(オレの台詞!!)
成る程、あなたが
噂の吸血鬼さん?
細くて肌も白いですわ!
……吸血鬼では、
ない…………………。
(へこんでる……)
あらいやですわ、
私ばっかりはしゃいじゃって……
皆さん疲れてるでしょう?
積もる話もありますし、広間へ行きましょう!
腰を落ち着けて、ゆっくり休んでくださいな。
広間へ案内するように
フィリカは先を歩き始めたが、
思い出したように"あっ"と
小さく声を漏らして一行へ振り向く。
陽光に髪を輝かせながら、
彼女は柔らかく笑みを浮かべた。
そういえば、挨拶もまだでしたわね。
ようこそ、"精霊のスクオーラ"へ!

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