ハロウィンナイトカフェ

店の前1「幼女を狙え!」あきよし全一

エピソードの総文字数=2,265文字

「幼女を狙え!」あきよし全一(店の前)
2017/10/18 21:31


 喫茶エブリシングの、店の外。ハロウィンのにぎわいを前に、男子大学生が二人、立ち話をしていました。暖色系のチュニックに黒のジーンズを身に着けた青年が、連れの髪の長くて眼鏡をかけた男に話しかけます。



聞いてくれ、新渡戸。俺、ロリコンになる。
は?


 新渡戸(にとべ)と呼ばれた男子は、呆気に取られて連れの男の顔を眺めました。



何言ってんだ、夏目? その悪い頭で何を思いついた?
気が付いたんだ。偏差値46の俺でも、幼女となら互角に会話できるかも知れないって。
お前、子供なめてるだろ? ってゆーかお姉さん属性だったんじゃないの?

いかにも、俺はお姉さんが好きだ。

目が細くて、猫っぽい雰囲気があって、髪が長くて、やさしい話し方をする保育士のお姉さんが好きだ。

あっ、でも関西弁使うってのもギャップがあって良いかも……

お前の趣味なんて聞いてねえ!
 友人のツッコミにも動じず、夏目くんは続けます。

なんの話だっけ? おう、それでな、思ったのよ。

そういうお姉さんとお近づきになるには、子供と仲良くなればいいんじゃないかってな!

お前がそんな頭いい作戦思いつくわけねーな? なんのドラマに影響された?
え、影響されて悪いのかよ。
当たりだったし……


 新渡戸くんは頭をポリポリとかきました。しかし夏目くんは怯むことなく、新渡戸くんに尋ねました。



それでロリコンってのは何をすればいいんだ?
え? えっとそりゃ、子供を眺めてニヤニヤすればいいんじゃねえの?

子供を眺めてって、そんなん飽きちゃうだろ。

あっ、子供って危なっかしいから目を離すなってことか?

ちげえよ!


 夏目くんは筋金入りのバカでした。



まず子供と言っても具体的に何歳かが問題になる。

俺好みの10~12歳くらいだと第二次性徴の始まる前、成長期によるスレンダーなボディが魅力!

日焼けしていて太ももが真っ直ぐだとなお良し!

 新渡戸くんもバカでした。

にじせいちょう?

何言ってるんだか分からないけど、すげえ気迫だ!

しかし! お前が狙いたいのは保育園児!

イカ腹体型がぷりちーなのは認めるが、上級者でなければ園児に恋するのは難しい!

え? 俺、園児に興味ないんだけど……

シャラップ!

俺も園児に興味はないが、愛する友のため!

ロリコンのなんたるかを叩き込んでやろう!

いや、新渡戸は友達だけど愛しちゃいないぞ。

見ろ! ちょうど保育園児が黒いマントを着て大量に歩いてきた。

ハロウィンパレードさまさまだな!

 そう。このハロウィンパレードには地元保育園も参加しており、保育士の先生に引率されて子供たちが歩いてきたのでした。

 口々に「トリック・オア・トリート」と言っていますが、うまく発音できていません。

 その中のひとりに目を留めて、夏目くんの目がハート型になりました。



うおっ! 超かわいい!
夏目……お前、今かわいいと言ったか!?
ああ。魔女の衣装が超キュートだぜ!

おお……こんなにも早くロリの良さを分かってくれるとは。

それじゃあ、せーの、で声をかけるぞ。

えっ!? いきなり声かけて大丈夫か!?

いきなり声かけるからハロウィンなんだろうが。

今日だけは何でもアリなんだ、思い切って行くぞ!

お、おう! やってやろうじゃんか!

いいか。せーの、でトリック・オア・トリートだぞ。

せーの!

トリック・アンド・トリート!
きゃっ!?
 夏目くんが声をかけたのは、子供たちを引率していた保育士の福沢先生でした。

もう、誰かと思えば同じアパートの夏目くんじゃない。

それを言うならトリック・オア・トリートでしょう。

はい、夏目です! 福沢先生、お菓子食べませんか?
ふふっ、あなたがくれる側なの? 本当、夏目くんって変わってるわ。
よく言われます!
 二人のどちらからともなく笑い合い、なごんだ空気が流れたとき――子供たちの列が大きく乱れました。
キャー!

ぐふふ、お嬢ちゃん、お菓子が欲しいざんしょ?

拙者が上げるでござるよ。

ふくざわせんせえ、たすけてー!
 子供たちは次々と先生の方へ逃げてきます。非常事態に、福沢先生は我が身をかえりみず、変質者との間に割って入りました。
こらっ、子供たちから離れなさい!

いやだよォ~ん! 俺はそこのレディたちとハッピーなハロウィンを過ごすんだよォ。

レディって……まだ小さな子供ばかりじゃない。頭だいじょうぶ?
黙れ年増ァ!
年……ッ!?


 怒鳴り合う二人をよそに、夏目くんはズボンのポケットからスマホを出すと、110をプッシュしました。



もしもし警察ですか? はい、変質者です。場所は喫茶エブリシングの――


 それから五分後。ハロウィンの混雑を見越してパトロールしていた警察官が駆け付け、変質者は無事逮捕されました。



ご協力感謝します。

離せ、国家権力の犬め!

俺と幼女のハッピータイムを邪魔させはせんぞォ!

夏目くん、ありがとう。私ったら、カッとなると突っ走っちゃって……
大丈夫です! そういうところは俺がカバーしますから!
夏目、貴様ァー! 友人を売って点を稼ぐとは、卑怯にもほどがあるぞー!
 おおっと、夏目くん大胆な告白です。これには友人の新渡戸くんも大激怒します。しかし警察官は悪党の言葉になど耳を傾けません。
ほらっ、きりきり歩け!
おぼえてろ、夏目ぇぇぇ……
夏目くん、これからも同じアパートの住人として、よろしくね。
はい! 俺、いつか先生と同じ部屋の住人になれるように頑張ります!


 なんと大胆な夏目くんの告白。その言葉に、福沢先生の顔は真っ赤になったのでした。







2017/10/18 22:22

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