マジカルミュージック

10月定例コンサート④

エピソードの総文字数=2,271文字

    遂に時間だ。

    歌音は、白のブレザーを羽織った。指揮棒は忘れずに持つ。前回と同じ過ちは犯したくない。黒のチェックのスカートが振り返った時にはためく。

    観客は、見る限りだと多い方だ。歌音は、今までの練習の成果を出す時が来た、と心に決める。

    控え室の廊下前には、クラスメイト全員が集まっている。全員白のブレザーに黒のチェックがモチーフのスカートやスラックスを履いている。今から皆で気合いを入れる音頭をとる。

    とるのはもちろん、歌音である。こういうのは苦手だが、歌音は皆のやる気を出すような音頭を考えて口にした。

2017/10/03 12:56
皆!!    今日の本番まで頑張ってくれてありがとう!!    今日は、最高の定例コンサートにするぞぉ!!
2017/10/03 13:03
おぅ!!(全員)
2017/10/03 13:04
    クラスメイト全員の元気な声が響き渡る。皆が一斉に舞台の上に上がり、各自の席についた。舞台は明るいままであるが、会場の灯りが落ち、アナウンスをする放送部の女の子にスポットライトが当たっている。

    因みにこの状況を歌音たちは見れるはずもない。

2017/10/03 13:04
それでは、今日のコンサートをお楽しみください。その前に担任の相馬先生と副担任の柏原先生の挨拶です
2017/10/03 13:07
皆さん、こんばんは。本日は、ミラージュ音楽学園高等部吹奏楽科の一〇月定例コンサートに足を運んでいただき、誠に有難うございます!!
2017/10/03 13:08
    亜里沙の言葉の後、会場では拍手が沸き起こる。音からするとけっこうなお客様が入っている事が分かる。歌音は深呼吸をし、緊張を和らげる事に集中をする。
2017/10/03 13:10
今回は、練習時間が少ない中、学生指揮者である鈴鹿さんの尽力のもと、クラス一丸となって曲に取り組み、今日を迎えることが出来ました。あたしたちの楽団には、プロに近い人がけっこういるので鈴鹿さんも大変な思いをされましたが、これだけのお客様を迎えての演奏会は初めてです。あたしからの挨拶は以上にして、次は柏原先生からの挨拶に移ります
2017/10/03 13:12
あっ……あー!!   こんばんは。柏原です。本日は、ミラージュ音楽学園高等部吹奏楽科の定例演奏会に足を運んでいただき、誠に有難うございます。本年度は、とても優秀な生徒たちを迎えることができ、こちらとしては誠に光栄な事であります。今日は、皆さんの心を癒す演奏をする生徒たちの応援をよろしくお願いいたします。それでは、まもなく開演です!!
2017/10/03 13:15
    な……何てことを……。一成の言った言葉に歌音の緊張はマックスになってしまった。一成に完全に煽られた。歌音は、顔を真っ赤にさせ、うつ向いた。

    その時、圭が歌音に口パクで何かを伝えてきた。

2017/10/03 13:18
(頑張れ!!   あいつらの心を癒す演奏を奏でよう!!   俺たちなら出来るだろう?)
2017/10/03 13:20
(そうだ!!   私たちにはできる!!   だって、今まで色々な困難を乗り越えてきたんだから!!)
2017/10/03 13:21
    幕がゆっくりと開いていく。歌音も前を向き、お客様に顔を見せる。

    遂に幕が開ききった。いよいよ開幕だ。

    歌音は、皆に着席の指示を出し、指揮台に上がった。とても緊張する。

    最初の曲は、「マナティー・リリック序曲」である。歌音は、一冊目のスコアのページを捲った。そして、皆と視線を合わせる。

    視線が合う人は合うが、合わない人はとことん合わない。これは、仕方がない。まだ歌音に心を開いていない人がたくさんいるのだから……。

    歌音が、指揮棒を構えた。プレイヤーたちは、楽器を口元で構える。そして、歌音の指揮が振り落とされた。

2017/10/03 13:22
   「マナティー・リリック序曲」

    金管のファンファーレと木管の奏でるきらびやかな水面を表す連符のかけあい。パーカッションの奏でる胸を突き動かす躍動感と共に10月定例コンサートの幕が開けた。皆を楽しませる……そんな感じの音楽を作り上げる……それを目標として、歌音たちの音楽は波に乗るかのように滑り出しは、好調な勢いで始めることが出来たのだ。

2017/10/03 13:29
(木管パート!!    もっと音出して!!    パーカッション、ちょっと音抑えて!!)
2017/10/03 13:33
(了解ですわ!!)
2017/10/03 13:58
(音……抑えなきゃ)
2017/10/03 13:58
    また音が整ってきた。とても良い感じだ。もうすぐ圭のソロが始まる。その前に音を整えないといけない。音は……織音のアルトサックスの音が少し大きい気がする。歌音は、織音に指示を出す。
2017/10/03 13:59
(織音ちゃん、音少し抑えて!!)
2017/10/03 14:02
(あぁ、ヤバイよ……。ヤバイよ……)
2017/10/03 14:02
(駄目だぁ~!!    完全に織音ちゃん、上がってしまってる……。こうなったら、圭くんに何とかソロを繋いでもらうしかない!!)
2017/10/03 14:20
    歌音は、圭を見つめた。そして、最初の指示を出す。
2017/10/03 14:25
(圭くん、トランペットソロ滑らかに皆を包み込むような感じで!!)
2017/10/03 14:28
(了解!!)
2017/10/03 15:12
    圭はたくさんの息を吸い込み、最初の一拍目を吹き込んだ。優しい音色が会場を包み込み、観衆の心を掴んでいく。まさに、音楽の英雄の如く、織音の緊張さえも和らげていく。
2017/10/03 15:13
(圭くんのおかげですね……。緊張が和らぎました)
2017/10/03 15:17
(織音……緊張することありませんわ。ここは、皆がいるんですから……)
2017/10/03 15:18
(俺のソロ、皆聞いてくれ!!   心を開け!!    武器商人になんかに負けるな!!    戦争なんて反対だ!!    俺は、音楽で皆の心を癒すぜ!!)
2017/10/03 15:21
    圭のソロは、お客様を圧倒させた。こんなにも圧倒させるとは歌音も思っていなかった。しかし、まだコンサートは序盤だ。手を抜くわけにも気を抜くわけにもいかない。
2017/10/03 15:22
(さて、次は誰の心を音楽で開こうか!!)
2017/10/03 15:24
    歌音は、心の中で決意をしたのであった。
2017/10/03 15:25

◆作者をワンクリックで応援!

0人が応援しました。

◆コメント欄は未記入でもOK! 公開されないのでお気軽に。

ページトップへ