黄昏のクレイドリア

19-5

エピソードの総文字数=967文字

<リーン邸 正門前>
朝もやの残る森の中、

佇む屋敷の門前で

カノンはゆっくりと息を吸って、

清涼な空気をその冷たさと共に

肺へいっぱいに満たす。


透き通る刺激によって

意識を覚醒させながら、

荷物を持ったまま空を仰いだ。

うん、いい天気ね。
おう!
…………。
別にセシルは、
此処でゆっくり待ってても
よかったのよ?
ばーか、一人で行くくらいなら
二人のほうがいいに決まってんだろ!
ふふ、働き者じゃない。
へへっ、そーだろそーだろ!

遺跡でも村でも

大して活躍できなかったしな。

ここで点数稼いでおかねーと!

ちゃっかりしてるわね……。
セシルの現金さに
半分呆れながら感心しつつ、
未だに眠っているであろう、
イーリアスの部屋へと視線を向ける。
…………。
(振り回されそうな力を
 知らないうちに持たされて、
 周りとのギャップに苛まれて……
 それはあたしも同じ。)
(でも……あたしは、

 あの人のおかげで

 自分を見失わないで済んだ。

 だから今度は、

 あたしがそれをする番。)

意志を固め、

進むべき道へと顔を戻す。

……それじゃ、
行きましょうか
よしきた!

任せとけって!!

互いに声を掛け合うと、

二人はロージアへ向けて歩き出した。






待ってくれ!!
……………ッ、
呼びかけられ、足を止めて振り向く。

そこには、まだ静養中のイーリアスが、

息を切らしながら立っていた。

…………。
イーリアス!
なんで…………
………………、
俺も……行く
行く、って……
無理しないで寝てたほうが
駄目だ。

俺はあんたを守るといった。

だが……、俺はそれを、

一度も証明できていないんだ。

契約は絶対だ。

身体が悲鳴をあげていようと、

這ってでも、守らなければならない。

だから…………

あんたを守らせてくれ、

カノン。

へ…………。
…………。
へっ、これくらいで

息切れてる奴が

何言ってんだっての!

痛でっ
そんなんじゃ
お前の出番ねーからな!
せいぜいオレ様の足を引っ張るなよ!
イーリアスに軽く蹴りを入れてから
発破をかけると、ふいと
顔を背けて歩き出していった。
……やれやれ、

なんだかんだで

セシルも優しいわよね

セシルの背中を見守りながら、

イーリアスへと振り返る。

そこまで言うなら、

一緒に行くわよ。

あんまり無理はしないで、

あんたの力を貸してよね。

……それじゃ、

セシルに置いてかれちゃうし、

あたしたちも行きますか

…………。
…………あぁ。

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