【ユーザー企画】最高のプロローグ選手権

米洗ミノル

エピソードの総文字数=300文字

2月最後の夜、僕は仰向けで長靴の少女に踏んづけられていた。


「あ……雨ちゃん、おも」

「重い、なんて言いませんよね」

「おも、面白いくらいの土砂降りだね」

「そうですね」


レインコートの彼女は僕の顔を踏みつけたまま、すまし顔でそう言った。


もっとも、彼女が本当にいつもの表情でいるのかは分からない。僕の視界は靴底でふさがれているのだから。


「来ますよケロ太さん。気をつけてください」

「この体勢でどうやって」

「頑張ってください」


そんな無茶な、という不満は、しかし激しくなる雨音にかき消された。


それでも。

ひどい嵐の中でもの気配だけは確かに感じられた。


来る。

近づいて来る。



雨のカーテンの向こうから――


恋敵がやって来た。

2017/10/06 20:01

riceshower_306

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