フェンリル娘と始める異世界生活

23話:ドキドキお家デート

エピソードの総文字数=2,591文字

シューマがまた明日と言い、返しに三人衆は並んでにやにやして、人差し指と中指の間にニュッと親指を突っ込む卑猥なハンドサインをだした。やめてって!と叫びながら酔っ払い三人と別れ、借りている宿屋に向かった。


フェリルは表情はほとんど変わっていないものの、しっぽがふりふりと振られておりごきげんなような感じがする。ご機嫌だよねこれ。
ていうかフェリルの尻尾、尾てい骨から生えてるからスカートの腰部分がめちゃくちゃぎりぎりでちょっとおしりの臀裂の先がのぞいている。やばい。
(じいいいいいいいいいいいいいいいいいいい)
シューマがはあはあと荒い息をはきそうになるのを堪えていると。
ん……。そんなにしっぽ見ないで……


どこか恥ずかしそうに上の服を下にぎゅっと引っ張る動作。尻尾の根元と臀裂が服で隠れる。くそぅっ!


ごめんごめん!そんなつもりじゃあ……

それからは二人の間に会話はなかった。

シューマは何か話題はないかと頭を巡らせるが、そもそも2、3日前にきたこの世界のことで話せる内容なんてそうそう無いことに気づいた。

ん。シューマどうしたの?

フェリルが尻尾でシューマのふとももをぺしぺししながら不思議そうに聞いた。

その尻尾って第三の手なの?もっとしてください。

いや、なんでフェリルちゃんはそんなに簡単に僕についてこれるのかな……って思って
ん……。めいわくだった?
フェリルはどこかこわごわとした感じに聞いてきた。
そんなことないよ! ……でもほんとによかったの?僕と一緒の部屋で……あ!僕の部屋の隣の部屋を借りたらどうかな?僕がいうんだから僕がお金も出すよ!
ん。シューマと一緒がいい
フェリルは尻尾を立てながら食い気味にそう言い、てこでも動かないような鉄の意志を感じた。じーっとシューマを見つめる獣耳美少女。

あ、これ無理なやつや。

でもさ!僕は男だし、フェリルちゃんは女の子だし……
わたしはシューマの群れに入った
え、いやパーティのこと……?
シューマは群れのボス。群れのメスを好きにしていい
群れのメス……って……
ん。わたしのこと好きにしていいよ……?

首をこてんとして両方の二の腕でその大きな胸を強調し、どこか幼い女の子が精一杯誘うように振る舞っていた。

童貞のシューマはいろいろと限界だった。

ちょうど目の前に宿屋が見えてきた。シューマは心臓とズボンの下が破裂しそうになっているのを実感していた。

宿屋の前で立ち止まったシューマにフェリルは「ん。ここ?」とシューマを上目遣いで聞いてきた。あざとかわいい。そのきゅっと閉じた口をこじ開けてむりやり大人のキスをしたい。

宿屋に入ると親父さんが対応してきた。
おいおい!大丈夫だったか?昨日開拓依頼にでてから帰ってこなかっただろ?なんかあった……
すみません、ご迷惑を……依頼でちょっと巻き込まれまして……
ああ……帰ってこれたんならよかったんだが……その嬢ちゃんは……?
ああ! はい、その依頼で知り合った女の子なんですけど、泊まるところがないみたいなんで、僕の部屋に泊めさせてもらったらうれしいんですけど、もちろん追加の料金はお支払いします!
泊まるところがない……帽子をとってもらえるか?

フェリルは身を隠すためにかぶっていた帽子を躊躇なくとった。

その下からぴょこんと二つのケモノ耳が飛び出してくる。

ああっ親父さんを素通りする作戦が!


フェンリスヴォルフレイス……か……


親父さんが静かな声をもらす。

やっぱりだめですか……?
お嬢ちゃん名前は……?
ん。フェリル
……よりにもよって「暴風」か。……シューマもえらいのと知り合うな
「暴風」っていうのはフェリルのあだ名って聞きましたけどそんなに悪名なんですか?
孤高の、といやあ聞こえはいいが、いろいろあってどこの誰ともチームを組めなかったって話だ。ほかのフェンリスヴォルフレイスからもどこか避けられているみたいだ。理由はわからないがな。この街の問題児の一人だな。
う~ん。そうなんですか……
それでシューマはそのフェリル嬢をなんとか助けたい……と
……そうです。せめて衣食住は人間らしくしないとバランスが崩れますから
お願いします! 僕がいたらフェリルも暴走しないようにできるみたいなんで! もし何か壊したりしたら弁償しますから!
ちょっとまて
ですから……はい……?
さっきの言い方だとシューマがフェリル嬢の暴走をとめたって聞こえたんだが
ん。危なかったときに頭なでて止めてもらった。
ーーーー
いや、間違ってはいないんだけど……
ーーーふ。あははははは! 銀狼族の暴走癖が頭撫でただけでどうにかなったら笑い話にもなんねえや。まあシューマがどうにかできたっていうことなんだろうけどな。

ガラムさんもえらいのよこしてきやがる

えっと……?
その嬢ちゃん泊めてやっていいぞ
ほんとですか!
ん!
ただし……嬢ちゃんはシューマの部屋で泊まること
マジですか!
ん!
そりゃそうだろ。暴走しかけたとき別の部屋にいましたとかいいわけ聞きたかねえぞ
男女七歳にして同衾せずということわざが……
おまえさん何歳なんだよ、成人してるだろ
18歳です
満30歳です☆
あとは、だ。もし何か壊したりしたらシューマに請求が行く。お嬢ちゃんじゃなくてな。それくらいの責任はとれよ。

もしとれなかったらガラムさんに請求が行く。

せっかく後見人になってくれた人を失望させるなよ

……はい
それに嬢ちゃんの方は大丈夫だろ。女が一人で男の部屋に潜り込むってんだ無傷って訳にはいかないのはわかってるだろ。何かあっても俺は関与しねえからな
ん!
なんだイイ返事だなお嬢ちゃん! いっそこの宿屋にいる男共にでっかい声聞かせて寝れなくさせてやれ!
ん!
親父さん、それセクハラ!それにフェリルちゃんも意味もわからず返事したらだめだよっ!
ん?
どういうこと?という風に首をかしげるフェリル。意味をわかっているのかわかっていないのかで大きく意味が変わっているがそんなこと聞けるはずがない。
おいおい、とんだカマトトやろうだ。ここまで引っ張ってきて尻込みしてやがる。キメるときはちゃんとキメろよ?
親父さんも卑猥なハンドサインをニュッっとくりだす。はやってるの?
親父さんはわかったから! 僕らだいぶ疲れてるからもう休むね! 行こうフェリルちゃん
ごゆっくり~

変に間延びした意味深な言い方で言ってくる親父に背を向けて、フェリルを促しながら自室へと向かうシューマだった。


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