犯人推理ノベル「消火栓」

1話 暗闇の男子寮

エピソードの総文字数=2,514文字

この物語はiPhone版「消火栓」という犯人推理ノベルゲームを原作者様監修の元、ディレクターが1つの物語につながるように編集したベストシナリオ版です。

トークメーカーの「会話に特化したシステム」が面白いと思い、登場人物の表情アイコンを新規で作成し、「消火栓」の物語を配信させていただこうと思いました。

より多くのユーザーの皆様に「消火栓」を楽しんでいただけたらと思います。

(アプリ運営、及びトークメーカーの投稿と管理は原作者様の許可を得て製作会社 IMT CO.,LTDが行っております。トークメーカーのノベルや iPhone版「消火栓」に関するすべてのコンテンツはIMT CO.,LTDのチームTkprojectが責任を負います。原作者様はプロジェクトの運営ついては無関係です)

ゲーム画面の紹介

iPhoneアプリ 犯人推理ノベル「消火栓」もよろしくお願いします!


アプリは私みたいな人物絵もシルエットもないです。

でも! 自分で好きな時に犯人をマークするとマークした人物を疑った状態で物語が進んでいく
犯人マークシステム
など、ノベル版にはない魅力がたくさんあります。

物語の分岐も400箇所以上ある大ボリュームのゲームなので、良かったら遊んでみて下さいね!



AppStoreからダウンロードはこちら。無料の体験版です。
【ダウンロード】

【どんなゲーム?】
http://tkproject.wixsite.com/shoukasen1998

【公式ツイッター】

それではここからノベル版ベストシナリオ「消火栓」をお楽しみ下さい。

バスケ部の夏合宿。

8月3日未明。


暗闇の中で事件は終局を迎えようとしていた。


岡山高原高校、男子寮、A-3号室にて。

・・・が・・・犯人・・・信じられない!

鈴原は、顔を手で覆って、その場に崩れた。

その時だった。

廊下の方から、誰かの大声が響いてきた。

弘樹! 逃げろ! あいつがすぐ近くにいるぞ!

逃げろ!?

あいつが近くに!?

どういう意味なんだ!?



突然、部屋のドアが開いたかと思うと、何者かが猛烈な勢いで部屋に飛び込んできた。

うぉおおおおおお!!

その人影は、サバイバルナイフを片手に、鈴原に向かってきた。


すべての世界が、まるでスローモーションのようになった。



よく覚えていないが、僕はとっさの判断で、鈴原に体当たりをした。



鈴原はベッドに吹き飛び、気がつくと僕はその人物と重なるように床に倒れていた。

ぐあぁぁ!!

腹部に鋭い激痛が走る。

・・・ナイフで・・・刺されたのか!?


男がナイフを抜き取ると、自分でも信じられない量の血液が、噴水のように吹き出した。
慌てて、傷口を手で押さえる。


しかし、指と指との隙間から血はあふれ出た。倒れて天井が見える。

弘樹くんっ!!

駆け寄ってくる鈴原。

ちっ・・・

人影は窓ガラスを突き破ると、闇に消えていってしまった。

しまった・・・顔を確認できなかった!!
あれは本当に「あいつ」だったのだろうか!?

弘樹くん! 大丈夫!? しっかりして!!

うう・・・鈴原・・・

すごい血・・・急いで止血しなくちゃ・・・

もう・・・ダメだよ・・・

何言ってるの!? すぐに救急車を呼んでくるから!!

それを聞いて、僕は鈴原の手をグッとつかんだ。

いかないでくれ・・・ここに・・・いてほしい・・・

どうして!? このままじゃ弘樹くん、本当に死んじゃう!!

無駄だよ・・・電話は・・・つながらないはずだ。
ここで、1人ぼっちで死ぬのは・・・嫌だ・・・

もう、僕は助からないと分かっていた。

こんな山奥の全寮制の学校の近くに公衆電話はない。

鈴原が学校を出て、誰かに助けを求めて救急車を呼ぶには、少なくとも30分以上はかかるはずだ。
僕はそれまで待っている自信がなかった。

弘樹くん・・・私、どうすれば・・・

鈴原は今にも泣きそうな顔で、その場に座り込んだ。

恥ずかしいけど・・・手を・・・握っててくれないかな・・・

僕は無理に笑って、そう言った。

鈴原は両手で、僕の手をギュッと握りしめた。
しかし、手の感覚が薄れてきて、鈴原の手のぬくもりを感じることはもう、出来なくなっていた。



・・・死ぬ。



死ぬってこういうことなんだ。

最後に・・・鈴原に何を言おうか?

そうだ・・・自分の気持ちを鈴原に伝えよう。
最期に告白したって、罰は当たらないだろう。

鈴原・・・最後に・・・聞いてほしいことがあるんだ・・・

何・・・?

鈴原はそれが涙なのか鼻水なのか分からないほどに顔を濡らして号泣していた。

俺・・・鈴原のこと・・・

意識がどんどん薄れていく。

早く・・・言わないと・・・

鈴原は何も言わず、じっと僕を見つめている。


僕は最後に力を振り絞って言った。

鈴原のこと・・・好きだったらしい・・・

いや、今でも好きです

・・・弘樹くん・・・

死への恐怖心はなかった。

好きだという気持ちを心に残したまま、死んでいける僕は幸せかもしれない。
むしろ、幸福感につつまれていた。

鈴原の声を最後に、僕は深く、暗い闇へと意識が遠のいていった。

・・・ありがとう、鈴原。

もう、泣くなよ。
俺、鈴原の笑顔が好きだったのに。


ずっとずっと笑っていてくれ。


ずっと、ずっと・・・

どうしてこんなことになったのだろう。

夏休みを利用したバスケ部の夏合宿が始まった初日はこんなことになるなんて夢にも思わなかった。

僕は普通の高校生で、普通に友達と騒いだり、普通にテスト前に焦って勉強したり、テストで赤点をとって先生や親に怒られて友達に笑われて落ち込んだり、普通に部活をしたり、ときにはサボったり・・・

普通に恋愛もしたかった。普通に告白とかしちゃったりして・・・告白はしたか。

普通にふられたりするのかな。それとも付き合うことになって、普通に手を繋いだり、普通かどうかはわかないけど、キスをしたり・・・

それを友達に自慢したり・・・普通に・・・

そう、僕は普通の高校生活を送りたかっただけなんだ。


どうして、こんなことになったんだろう・・・


僕は、そんなことを暗闇で考えることもできなくなり、
完全な無への世界へ堕ちていった。

時は約3日前の1998年8月1日にさかのぼる。

つづく

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