黄昏のクレイドリア

7-3

エピソードの総文字数=813文字

<供犠の塔からロージアの道中にて>
あー、まったく……
俺たちをボコボコにした女に
気味の悪ぃ魔術師……
そんな奴らと並んで歩いてるなんて、
ほんと人生何が起こるかわからねぇなァ?!
俺は歩いてないぞ
へいへい、随分と
お元気そうで何よりですよ!
背負われているイーリアスと
背負っている男とが
憎まれ口を叩いている中、
先頭を歩くセシルが口を開いた。
いやー、まさかほんとに
上から奇襲を掛けるなんて思わなかったぜ!
なになに、やっぱあの
白いびらびら服のおかげなのか?
心配して駆けつけても
ぴんぴんしてるしよー。
うーん、そうでもないわよ。
今日は新月だったから、
衝撃を吸収しきれなくて……
さっきから体の反応がよくないのよね。
んなこと言ってもよ、
あの高さから落ちてきて
無事だってんだから……、
充分化物じみた力じゃねぇか。
…………。
アニキ!
助けてもらったのに、
なんでそんな事言うんだよ!
うるせぇ!
助けてほしいだなんて
一言も頼んでねぇだろうが!
声を落とせ二人共。
傷に響く。
…………。
……結果的には、
新月で幸運だったと思うぞ。
ギエルが扱っていた杖の光撃……
あれがもし、新月以外の夜に
放たれていたなら……
お前達は今頃黒焦げで、
塔に転がっていただろうからな。
…………。
(杖…………、)
(一応フィリカに
 持って行ったほうがいいわよね……。
 今回の任務とは別件だったけれど、
 事件が起きたことには変わりはない――)
…………。
ん?
最前列を歩いていたセシルが、
一行を制止するように腕をあげた。
どうしたの、セシル
前方から誰か来る。
一人じゃない……二人か?
誰か……
う~ん、
おれたちを迎えに来る
馬の人とか……?
馬鹿、元々は夜明けまでに
掃除を済ませろって言われて
塔に詰め込まれただろ、
御者のはずがねぇ!
そもそも日の落ちきった世界で
外を出歩くのは危険な行為である。
その闇の中をわざわざ出歩く者は、
大方カタギではないからだ。
…………。
一行は、この後に
現れるであろう人影に、意を注いだ――

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