【4/1】ダンゲロスSS(9) 兜海老vs滝口流

滝口流

エピソードの総文字数=2,666文字

こちらにて滝口流さんが執筆します。他の方は書き込みをお控え下さい。
街の喫茶店でオニオンナポリタンを食べていると、断わりもせずに男が対面に座ってきた。
なんだこいつは。

takigutir

やあ、大悟郎くん。久しぶりだね。
……誰だ、あんた。
やたら馴れ馴れしく話しかけてくるが、男の顔に見覚えはない。

takigutir

忘れたかい? 僕は富岡。
気軽にトミーって呼んでおくれ。
景太郎さんから話は聞いているよ。
親父が……?
あんた親父の知り合いか。
何でも畑楽木という魔人……吸血鬼を追っているんだって?
……ああ。奴は数多くの犯罪に手を染めている極悪人だ。
吸血鬼に違いない。
ならば俺はヤツを殺さねばならない。
それが俺の使命だ。
ああ、わかるよ。お母さんの件は残念だったね。
僕も畑楽木に因縁があるんだ。
ヤツは今、隣町の公園に潜伏しているらしい。
どうだ、手を組まないか?
突然の男の提案に少し考える。
ここ数週間調べたものの畑楽木という男の素性はまったくもってわからなかった。
それを調べたのなら彼は有能な男なのだろう。
父と母のことも知っている。
――だが。

takigutir

……いいや、俺は俺のやりたいようにやる。
あんたの手は必要ない。
それが俺の使命なんだ。
勘定を置いて立ち上がる。
居場所がわかったなら、後は殺すだけだ。

富岡をそこに置いて、俺はその場を後にした。

takigutir

*  *  *

takigutir

ぐおぉ……ぐぅぅ……!
深夜の公園にやってくると、そこには何体もの腐乱死体がたむろしていた。
最近は街でよく見かけるようになった光景だ。

takigutir

ちっ……吸血鬼どもめ……。
大本の吸血鬼に噛まれたものはグールになるという。
きっと奴らがそれだろう。
一人残らず焼却してしまいたい。

takigutir

クハハッハアッ!
踊れゾンビども……!
特に意味もなく踊り続けるがいい……!
そうすればその姿は街に混沌と恐怖を与えることになる……!
グール達の中心で高笑いを上げる男がいた。
おそらくあいつが富岡が言っていた、畑楽木だろう。
奴が周りのグールを量産している吸血鬼なのだ。

takigutir

こちらにまだ気付いていないか……それなら――!
手元から二本の板を組み合わせて作ったブーメランを取り出す。
気付かれないよう注意しつつ、畑楽木目掛けてそれを投げ放った。

takigutir

V・H・D! クロス・ブーメラン!
駆け抜ける十字架が炎を纏い、畑楽木の頭蓋を砕く。
高熱により発火する薬剤を塗布した十字架を念じて燃やす、炎のブーメランだ。
燃えることに特に意味はない。

takigutir

やったか……!
おいおい……俺の綺麗な顔が台無しじゃないか……。
貴様……! 骨が再生して……!
クハハ……。
誰だか知らんが、見くびってもらっちゃあ困るな。
そんな小手先の攻撃で俺を倒すことなどできんよ。
チッ……!
ハーハッハッハ!
イケェゾンビども! 暖かい餌だぞ~!
うぅ~~……! ヒャッハー!! 
ヤツの操るグール達が両手を激しく前後に振りつつ、やたらと綺麗なフォームでこちらへと駆けてくる。

takigutir

く……!
V・H・D! クロスセイバー!
両手の手刀で迫りくるグールを十字に切り伏せる。
その斬撃の軌跡は、俺の手が通過すると同時に何もない空間に高熱の烈風を置き去りにした。

takigutir

ぐぅぅ~……!
チィ! キリがない!
ファーハッハッハッ!
馬鹿め! 俺がなぜここに陣取っていたのかすらも知らずに来たのか!
この公園は隣に墓地が併設されているのだ!
無限のゾンビ達に押しつぶされるが良いわー!
くそ……!
またも襲いかかるグールを切り伏せるが、次から次へと彼らは湧き出てくる。
このままでは……!

takigutir

ぐぅぅ~~~……グバァッ!?
突如、グールが水平方向に吹き飛んだ。

takigutir

やあやあお待たせお待たせ。
ちょっとばかし準備に時間がかかってね。
そこには大口径のショットガンを持った富岡がいた。
彼はその顔に余裕の笑みを浮かべている。

takigutir

な、なんだ貴様は!
名乗るもんでもないがね。
ちょっとしたハンターさ。
さて、残念だが君にはここで退場してもらうよ。
富岡が右手の電子端末を何やら操作すると、突然背後から激しい光が放たれた。

takigutir

照明車……!?
ご名答。
場所は調整してあるから、君の能力を使ってくれないかな。
あれは……!
光の出てくる方向を見れば、ライトには十字の目張りがされていた。

takigutir

いいだろう……! 最大出力だ!
V・H・D! クロス・インフェルノ!
地面に描かれた巨大な十字が熱を発する。
その上のグール達は声をあげる間もなく、蒸発した。

takigutir

なっなっなっ! なんだこれは!
だ、だが俺には無限の再生能力があるのだ!
お前たちがいくら強かろうと――!

その再生能力、新たなゾンビを作っている間は効いてないんだろ?
き、貴様……! なぜそれを……!
なあに、ちょいとお喋りな友人がいてね。
そしてその力は自動発動。
つまり霊園の近くにいて、お前の周りのゾンビが全滅した時は――。
富岡がヤツに近付き、その胸にショットガンを突きつけた。

takigutir

お前の負けってことだ。
破裂音が響き、ヤツの胸が砕けた。
首が地面に落ちる。

takigutir

く、く、ぐぬぬ……!
この、混沌のゾンビマスター、トミ――!
おっと。
富岡が、何かを言おうとしたヤツの下顎を踏み砕いた。

takigutir

……ふう。
首だけでも喋れるとはとんだ生命力だな。
かといって粉々にすれば賞金は受け取れないし、銃でちまちまやるにはゾンビが邪魔。
まったく、やたら面倒な相手だ。
彼は上半分になった頭蓋骨を持つと、公園の外へと歩き出した。

takigutir

お、おい! あんた!
おいおい、トミーって呼んでくれって言ったろ?
……あんたの言葉を聞かなくてすまなかった。トミー。
俺だけだと正直、勝てたかはわからない。
いいってことさ。
こいつの懸賞金は俺がもらうしな。
……ああ。ありがとう。
富岡は後ろ手で手を振ると、そのまま公園を後にした。

takigutir

*  *  *

takigutir

後日、俺はイライラしながら街の喫茶店でオニオンナポリタンを食べていた。

takigutir

――してやられた。

あの後、親父に確認したら富岡と名乗る男のことなんてサッパリ知らなかった。
しかもそれだけでなく、情報を集めるに連れてあの男自身が俺が追い求めていた畑楽木本人である可能性が高くなってきた。

あの男は俺の力を利用して、グールを量産する吸血鬼を倒して懸賞金をせしめたのだ。

完全に油断していた俺の負けだ。

takigutir

あの男、次にあったら絶対にただじゃあおかない……。

そう心の中で怒りの炎を燃やしつつナポリタンを口にかっこんでいると、誰かが対面の席に無断で座った。

takigutir

「なあ、この割り箸でタバコに火をつけてくれねーかな。ちょっとライター忘れちまってさ。出来るのは知ってんだよ」

takigutir

聞き憶えのある声を耳に受けて、俺は大きく溜息をついた。

takigutir

 ヴァンパイアハンター ✕ ゾンビハンター   終わり

takigutir

うおー23時半!終了です!

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