黄昏のクレイドリア

7-1

エピソードの総文字数=609文字

…………。
壁を伝い、横たわった魔術師へ近づいていく。
カノンは彼の前に屈み、冷たくなった手をとった。
(……脈も無い。もう大丈夫ね。)
見開かれたままだった眼を閉じさせると、
カノンが纏っていた白の衣が、
すぅっと空中へ消えていった。
さてと
…………。
どうするこれ、
抜かないほうがいい?
イーリアスの右足を貫いたままであった
刃仕込の杖と、本人とをカノンは交互に見やった。
……何故
……何故、俺を助けた。
あのまま俺を放っておけば、
あんたは契約から解放されたんだぞ。
…………。
望まない力に振り回される所に同情したのかもしれないし、
理不尽がイヤだったのかもしれないし、
単純に、あたしにとっても
あんたに利用価値があったからかもしれない。
……ま、助かったんだし
細かいことはいいでしょ?
…………。
…こんな所でこのままで
いるわけにもいかない。
引き抜いてもらって構わない。
わかった。
…ってわけで、
あんた達も手伝って
てんめェ……
此処で会ったが100年目!
…と言いたいところだが、
いいぜ。手伝ってや――
おらァッ!
?!
うげぇ、予想はしてたけど
すっげぇ血みどろ空間じゃねーか。
塔の観光どころじゃねーな……トホホ
いてッ!?
扉が開いた事を見て取ると、
セシルにぶつかりながら
一人の男が外へ駆け出て行った。
……なんか一人出てったけど、
ほっといてだいじょーぶか?
別に、構わないわ。
……構わないわよね?
あぁ。
もう仲間ではない奴のことは……
俺たちの知ったことじゃあない。

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