マジカルミュージック

木こりと囚われの姫巫女

エピソードの総文字数=2,324文字

    木こりは囚われの姫巫女を助けたい、と思っている。しかし、道は遠い。彼女が囚われている閉鎖的な空間は、強大な結界に覆われており、触れることさえ許されない。姫巫女の見ている夢世界は、彼女自身が誘う事ができるのだが、他の人は巻き込まれるだけで何も出来ない。

    これがこの世界の現実なのだから……。

    さて、今日詩織の夢世界に誘われたのは、歌音と圭と聡太であった。顔を見合わせるなり、三人で騒いだのを覚えているのだが……。

2017/09/15 14:42
何もないね……
2017/09/15 14:47
本当に何にもない……
2017/09/15 14:47
ここは、詩織の夢の中なのかもしれない……
2017/09/15 14:48
南の夢世界か?    本当に何にもないんだけど……味気無いというか……。聡太が前に来た時もこんな感じだったか?
2017/09/15 14:49
    聡太は首を横に振る。
2017/09/15 17:50
違う。前来たときは、緑に包まれた神秘的な湖と社があったんだが……
2017/09/15 17:50
あれが社でこれが湖か?
2017/09/15 17:51
    圭が指差す方角には、水の渇れた湖と苔に覆われた社が建っていた。確かにここは詩織の夢世界で間違いない。歌音は一本の木を見つける。赤い果実をつけた大きな木を見つける。
2017/09/15 17:52
あの果実ってリンゴだよね?
2017/09/15 17:54
確かに色・形はリンゴだな
2017/09/15 17:55
違う!!    あれは、御神木だったんだ。なのにリンゴの実をつけるなんて可笑しいだろ!!    そこは、色々とツッコミをいれてくれよ!!
2017/09/15 17:55
御神木って杉だよね?    どうしてリンゴの果実になっているのよ!!
2017/09/15 17:57
歌音……ここは嫌な予感しかしない。だから、お前は……聡太もそうだ。今の詩織は可笑しくなっている。だから、みんな俺に守らせてくれ!!
2017/09/15 19:00
えっ、嫌な予感って……
2017/09/15 19:02
    何かが風をきったかのように歌音の後ろにあった木に刺さった。

    一本の矢が木に刺さっている。歌音は、さっきの攻撃が当たっていたら死んでいただろうと思い、その場にへたれこんでいまった。怖くて仕方ない。

2017/09/15 19:03
今、私……殺されかけた?
2017/09/15 19:05
これはどういうことなんだ!!
2017/09/15 19:06
俺も知らない……。まさか、今のは詩織が……
2017/09/15 19:07
    崖の上には一人の姫巫女が弓と矢を持って立っている。もしかして、これが死亡フラグってやつか……。
2017/09/15 19:07
この世界で大ケガを負ったらどうなるんだ!?
2017/09/15 19:08
現実世界の自分は無傷だが、それなりの代償を負うことになるだろうな……
2017/09/15 19:09
    それなりの代償を……。歌音には、この時初めてその意味を理解することができた。もしかすると歌音自身が、誰かを守ってこの夢世界で大ケガをするとする。そうなると歌音は、ダウンするんだろうな……、と解釈することができたのである。

    また、崖の上の姫巫女が弓を射ようとしている。そのターゲットに入っていたのは圭であった。圭は、その事にまだ気がついていない。歌音は圭に向かって走り出す。間に合え!!    それと同時に姫巫女から矢が放たれた。目の前に飛び込んでくる歌音と弓に気がついた圭だが何も出来ない。守ることも回避することも自らでは出来なかったのだ。

    歌音に勢いよく撥ね飛ばされた圭は、地面に尻餅をついた。歌音は圭に抱き付くような形になってしまう。その直後、歌音は背中に激しい痛みを感じる。声がうまく出せない。口の中に血の味が広がっていく。圭は、まだその事に気がついていない。

2017/09/15 19:10
うっ……けほっ……
2017/09/15 19:24
歌音……大丈夫か?
2017/09/15 19:24
なっ……
2017/09/15 19:25

    聡太も声を出せずにその場で固まってしまった。そして、姫巫女を睨み付ける。

2017/09/15 19:25
ふざけるな、詩織!!    これは、一体どういうことなんだ!!
2017/09/15 19:26
……
2017/09/15 19:26
    圭は、いきなり歌音に抱きつかれた事に驚きを隠せなかったが、歌音の背中に手を回したとき、ぬるりと何か触れた事に気がつき、圭は自分の掌を確認してみる。
2017/09/15 19:27
ど……どういうことなんだよ……。歌音……どうして俺なんか守ったんだよ……
2017/09/15 19:29
だ……だって……大切な……友達を失いたく……なかったから……
2017/09/15 19:42
くっそー……俺は何も出来ないのかよ!!
2017/09/15 19:42
いいや、まだ方法は残されている。もうすぐ朝だ。詩織の夢世界は解ける。夢世界が解けたら早く歌音さんを助けてあげて……
2017/09/15 19:44
    夢世界が解ける。歌音は、どれぐらいの代償を払うことになるのかこの時は、まだ誰も知らない。

    次に目を覚ましたのは、各自の部屋であった。

2017/09/15 19:45
    圭は朝、ベッドから飛び起き、すぐに歯磨きとTシャツ・ジャージを脱ぎ捨て、制服に着替える。その音に同室の巧も目を覚ました。
2017/09/15 19:47
圭……朝からどうしたんだ?    どうしてそんなに慌ててる?
2017/09/15 19:49
歌音が死んでしまうかもしれない!!
2017/09/15 19:49
はぁー?    何で歌音さんが死ぬかもしれないんだよ。あいつが、死ぬわけないだろ?
2017/09/15 19:50
俺、昨日夢で歌音が南に殺されかける夢を見たんだ。すごい出血で……それでも俺に笑いかけてくれて……俺は、何もできなかったんだ……
2017/09/15 19:55
はぁー?    詩織さんに殺されかけるってどんな夢なんだよ。まあ、いいから見てこい
2017/09/15 19:57
    圭はすぐに部屋を飛び出し、歌音の部屋に向かった。この時間だからレディーは着替えている時間帯だ。しかし、そんな事気にしていられない。愛する人が目の前で血を流していたんだから……。

    歌音の部屋に着くとノックもせずに開ける。明里が戸惑った表情でもう一人のこの部屋の主を呼び続けている。

2017/09/15 19:58
歌音、しっかりして!!
2017/09/15 20:02
どうしたんだ、明里!!     歌音は、大丈夫なのか?!
2017/09/15 20:04
朝から熱が40度近くまで出ているの。柏原先生にお願いしたら病院に連れていってくれるって……。とても苦しそうであたしは見ていられなくて……
2017/09/15 20:05
やっぱり……それなりの代償を負うってこういう事だったんだな……。くっそー、代わってやれるんなら代わってやりたい……
2017/09/15 20:09
愛だね……羨ましいよ。歌音が羨ましいよ……
2017/09/15 20:10
    その後、歌音は一成に病院に連れていってもらい、病院で「扁桃炎」の診断をうけるのであった。
2017/09/15 20:11

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