マジカルミュージック

10月定例コンサート⑤

エピソードの総文字数=2,046文字

    歌音たちの奏でる音楽は、全ての人を魅了していっているように見えたが、一部の人の心を開くことが出来なかった。固い何かで閉ざされている。最近は、音楽に対する拒絶の強硬派とか増えてきているのが事実であった。

    歌音は、更にメンバーに指示を仰ぐ。

2017/10/05 18:55
(フルート揺れないで!!   クラリネットもう少し前に出てきて!!    サックスもう少し音大きく!!)
2017/10/05 18:58
    しかし、そう上手くいくものではない。プレイヤーかって人間だ。人間だから玩具のように扱ってはいけない。彼らは、歌音の奴隷ではない。それは、思っている。

    余裕がない歌音は、自分を見失いそうになっていた。全ての音の濁流に飲まれそう…… 、そんな感じだ。音の濁流が歌音に迫る。

    その時だった。ユーフォニアム・チューバの音色によって歌音は現実に戻ってくることが出来る。

2017/10/05 18:59
(ありがとう、これで「 マナティー・リリック序曲 」のフィナーレよ!!     皆、味わうのよ!!     これが、私たちの音楽の形よ!! )
2017/10/05 19:04
    色々な色のテープが弾けるように最後の一音を紡いだ。ホールに最後の音の残響が残り、お客様は皆固まってしまったかのように見えた。

    暫くすると、会場内に盛大な拍手の波が沸き上がった。

    ここまでくれば一安心だ。舞台の証明が少し暗くなり、放送部の女の子が出てき、マイクを手にした。

2017/10/05 19:12
オープニングを飾りました曲は、ロバート・シェルドン作曲「 マナティー・リリック序曲 」でした。次にお送りする曲は、堀川奈美恵作曲「 三日月の舞 」です。この曲は、テレビアニメの為に書き下ろされたオリジナルシンフォニック曲です。それでは、まもなく始まります
2017/10/05 19:15
    再び歌音が舞台袖から出ていき、指揮台の上に上った。色々な人々の思いが見えてくる。疲労感・倦怠感・睡魔・緊張感・絶望感 …… 、色々なものが歌音の目に入ってしまった。

    歌音が絶対に見てはいけない人の感情の流入…… それが、歌音の平常心の崩壊が始まるのでもある。

    それに気がついたのは、圭ではなかった。悠でもなければ明里でもない。

2017/10/07 23:13
( 歌音さんが緊張してる…… )
2017/10/08 09:03
( 人々の感情の洪水……。ここまで酷いものとは思わなかった…… )
2017/10/08 09:05
( 歌音さんなら大丈夫ですわ!!     皆、心配している暇があったらとにかく歌音さんをフォローするのよ!! )
2017/10/08 09:06
    歌音が指揮棒を上げた。

    始まる。三日月の精霊による華麗なる舞が……。

2017/10/08 09:08
    楽器を構え、プレイヤーたちは歌音が指揮棒を振り下ろす瞬間を見計らっていた。

    今、この瞬間にも心に闇を宿してしまった人がいる。音楽は、その闇を祓うことが出来る一部の人だけに与えられた最大級の力だ。その力を持っているのが、この数少ない楽団の一つである「 ミラージュ音楽学園高等学校吹奏楽団 」である。

    歌音が、指揮を振り下ろした。

    高らかで勢いのある金管楽器のファンファーレが鳴り響く。音割れもなく、音の伸びもちょうど良いぐらいのファンファーレだ。その後、木管楽器がファンファーレを彩るようなキラキラとした音の粒を落としていく。まるで、三日月の精霊の魔法のように……。

2017/10/08 09:10
( 木管パート、曲を彩るようなメロディーを!! )
2017/10/08 21:26
    フルート・クラリネット・サックスなどが歌音の要望に答えるかのようにファンタジックなメロディーを奏で始める。まるで、三日月の妖精が舞い踊るかのようなリズミカルなメロディーとリズミカルな伴奏を奏でるパートの音が重なりあう。

    中盤、一度曲が落ち着きを取り戻す前、クラスメイトたちの奏でる楽器の残響がホールに鳴り響き、キラキラとした音の粒に変化し、観客席に降り注いだ。

    そして、トランペットソロを担当している圭のソロが始まる。パーン、と音が綺麗に鳴り響き、観客席の人たちをも圧倒する。さすがは、プロのトランペット奏者というだけの意味はある。歌音は、圭に向かって指揮を振る。そして、とある指示を出した。

2017/10/08 21:28
( 圭くん、誰かに恋をしたときを思い出して奏でて!! )
2017/10/08 21:37
( 誰かに恋って……。 俺が恋しているのは、歌音なのに何故分かってくれないんだろうか…… )
2017/10/08 21:38
( もっと!! )
2017/10/08 21:39
( もっと、って……。 じゃあ、俺の思いに気づけ!! )
2017/10/08 21:40
    しかし歌音は、圭の思いに気づくわけもなく、圭の思いを蔑ろにしてしまった。そして、圭のソロが終わってしまう。また、曲に賑やかさが戻ってくる。

    そのまま観客たちにとっては大盛況となった定例コンサートは幕を閉じた。

    しかし、その後ぐらいから圭の様子が少しおかしかったのを歌音は覚えている。話しかけてもそっけない態度で返事を返されたのも忘れることができない。

    そして、後にこの事が歌音にとって最大の黒歴史であり、歌音にとって圭がどれだけ大切な存在か思い知らされる事件が発生する。

    その時は、刻々と迫っていた。その事を歌音は、まだ知らない、

2017/10/08 22:20

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