【ユーザー参加企画★リレー小説】イブに初デートしたらヤバい世界に飛ばされた件

【ギン01】たけうちりうと

エピソードの総文字数=749文字

もの思う指輪
2017/11/30 17:15

ぼくらはもともと『ふたつでひとつの指輪』だった。

 

 金の指輪の名前はフェン。

 亜麻色の石を抱いている。


 ぼくは銀色。

 指輪の内側に古代文字が刻まれている。

 名前はギン。そのままだけど。


 ぼくにも、フェンにも、輪の端に溝がある。

 溝を合わせて連結するとひとつの指輪。

 離せばふたつの指輪。


 そしてぼくらはもの思う指輪だ。

 そのように作られた。

 遠い遠い古代に。

 

 けれどもフェンが何を考えているのか、ぼくにはわからない。

 フェンはときどきぼくの思っていることを言い当てる。

 全部わかってるわけではないらしい。

 当てられたときはびっくりするほど正確だから、ぼくは驚く。

 

 フェンは自由だ。

 指輪以外のものに変身できる。

 生き物に変身して動くことも。

 行きたい場所に行き、したいことができる。


 ぼくは自分ひとりでは動けない。

 自立機能がもともと備わっていない。

 それでもぼくらが連結状態であれば、フェンが変身したときに持ち物のふりをしてあちこちへ行くことができた。


 今、フェンはいない。

 ぼくらを買ったふたりの人間が、僕とフェンを別々にしたからだ。

 フェンはどこかへ行ってしまった。

 ぼくを買った人間ふたりも、ぼくを放ってどこかへ行った。

 

 というわけでぼくは。

 今、この世に生まれ出てから初めての経験をしている。

『指輪の半分』形態でありながら見た目は『ひとつの指輪』状態。

 ちょっとややこしい。

 

 だけど。

 ぼっちの指輪であること以外、ぼく自身は何も変わっていないんだ。

 もの思う指輪。

 動けない指輪。

 そして誰のものでもない指輪。

 

 ぼくはどうしたらいいんだろう……。

 空を見上げてみる。

 

 雪片が白くなったりグレーに陰ったり燦めいたりしながら、ひらひらと、ひらひらと、ひらひらと……。

 


2017/11/30 17:17

riutot

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