黄昏のクレイドリア

11-3

エピソードの総文字数=678文字

そっちは何かあった?
いや、何も。
先に進めそうな階段や通路、
行く手を阻む罠も含めて、何もない。
……そう。
相変わらず、呼び石を使っても
反応は無いし……。
…………。
沈黙が場を支配する。
松明の炎の動きに
時の流れを委ねるのも程々に、
2人の視線は自然と
落とし穴へと移っていた。
……やっぱり、
セシルと同じように、
あの穴を落ちるしかないみたいね。
そうだろうな。
……あと、
思ったんだけれど、
此処、静かすぎない?
…………。
さっきセシルが落ちた時だってそうよ。
セシルの悲鳴を聞いてから、
衝撃音だとか、セシルの声とか……
何も聞こえなかった。

正直、気味が悪いわ。
俺も概ね同意見だ。
良い観察眼だな。
(相変わらず
 物言いが上からね……。)
付け加えるなら……、
今俺達が此処に立っている空間と、
その穴の下の空間は、
全く別物かもしれないということだ。
どういうこと?
あんたのボスのやってることと
似たような仕組みだ。
この広間一帯を、
一つの空間として完結させている。
えーと…………
…………。
この広間一帯は結界で守られているが、
穴の向こうは結界の外になる。
そうとなれば、危険が
存在する可能性があるだろう。
なるほど、そういうことね。
あんた、物事を難しく言うクセ、
直したほうがいいわよ。
……善処する。
それじゃ、
腹をくくって降りるとしますか。
行くのか
当然。

あたしたちの仕事は
アーティファクトが相手なんだから、
一々びびってたら話にならないでしょ。
違いない。
言うが否か、カノンは白の衣を纏うと、
ぽっかりと口が開かれた闇の中へ飛び込み、
呑み込まれていく。

小さく肩をすくめて、
イーリアスは
カノンの後に続いていった。

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