黄昏のクレイドリア

2-3

エピソードの総文字数=609文字

ん…
!! ここは……?
(天井が見える……
 つまり…、ここは、宿)
カノンは昨夜の記憶が曖昧だった。
疲労のあまり悪夢を見ていたのだろう。
……はは、なーんだ
夢か――――

言葉に出す事でそれが現実であると安堵しようとしたが、
カノンはふと、周りを見渡してしまった。


…………。
 
 
 
(夢じゃなかった)
(コイツのせいであたしの人生が
 さらにめちゃくちゃになってるってのに……
 安らかに眠っているとは…!!)

対岸ですやすやと寝息をたてて眠っている男を
寝床ごと蹴り飛ばしたくなる衝動に駆られたが、
頭の隅に残っていた理性がそれを抑え、
カノンは状況把握の為に頭を働かせる事にした。

(たしかあの時コイツに何か契約をさせられて…
 その後からの記憶が曖昧だけど、
 襲われてはいない……はず
…………。
(契約が何よ)

(今のコイツは無防備。
 だったらコイツを殺して、
 契約も何もなくしてしまえばいい)

寝床の脇に立てかけられていた愛剣へと目を移し、
意を決して手に取った。

(ましてや今回は正当防衛…
 一撃で決める!
抜き身の刀身を振りかぶる――――

!?

刃は男に届くことなく、
得物は床に音を立てて落ちていった。

(体から、力が抜け……それに……)

やれやれ、早速襲いかかってくるとはな
……っ、
膝をつき、痛む首筋を抑えながら、
カノンは起き上がった声の主を睨み上げた。

だがこれで、嫌でもわかったはずだ
お前は俺に抗えない。
たとえ凄腕の傭兵でも、この契約が続く限りはな。

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