黄昏のクレイドリア

3-3

エピソードの総文字数=1,155文字

手ぶらで帰るわけにもいかないカノンは、
話を聞くために、ニルスの家に上がらせてもらっていた。
ごめんなさい、散らかってて……。
いいのよ、慣れてるから。
あっ!待っててください!
今お茶を入れますから――うわぁっ!!
(盛大に転んだけど……、
 この辺に転がってるものも、
 作品の一部じゃないのかしら……。)
カノンはガラクタの山から掘り出された椅子
(脚がそろっていないのかグラグラする)に
座りながら、一風変わった空間を見渡していた。
(へ~、魔巧師って色んなものが作れるのね…)

丁寧に編まれた紐やベルト、ガラス瓶や石細工が
机や棚に無造作に並べられている。
きちんと陳列すれば、雑貨屋でも開けそうな出来である。
そうして目を楽しませている間に、
ニルスがお茶を持って戻ってきた。

本当にごめんなさい、
わざわざ僕の為にロージアに来てもらったのに…
だからこそ、今こうして話を聞いてるんでしょ。
それに…敬語は使わなくていいわよ。
歳も近いだろうし
あ、ありがとう……。
それで、どういった経緯で魔巧具が盗まれたの?
えっと、親方に預けていた魔巧具を受け取りに、
今日の朝方に魔巧具ギルドに行ったんだ。
それで、その帰り道でひったくられちゃって……
犯人の姿は見てないの?
ごめん、転んで慌ててる間に
あっという間に人ごみに紛れられちゃって……。
少なくとも、すっごい大柄な人じゃなくて、
ぼくと同じくらいってことくらいしか……。
そう……。
ほんとにごめんね。
ぼく、昔っからとろくさくって……
そんなに落ち込まないで、
誰にだってツイてない時はあるから……
(なんだかすごく遠い目をしてる……)
そういえば、その魔巧具ってどんな魔巧具なの?
この部屋にあるみたいに、
雑貨みたいな見た目だったり……。
えーっと…なんていえばいいのかな、
赤いベルト…?が、
一つの丸い金具に輪っかに繋がった装身具…です。
へぇ……
(ベルトとは違うのかしら……)
そして、金具が魔力の楔になって、
装備者の魔力を抑える…そういう効果の魔巧具だったんだ
なっ…そんなことが可能なの?!
それが可能なんだよ!
本来魔術師の力を増幅させる為の魔巧具で反対の効果を得るな
んて魔術師には全然受けないしでもだからこそリーンさんの御
眼鏡にも叶ったんだと思うんだけれど金具に純正の金をベルト
部分にガーネットを使ってるんだようするに敢えて魔力伝道の
いい素材を使うことで魔力を魔巧具に流してしまうって寸法なんだ!だから
ご、ごめんなさい、
薀蓄はまた今度にお願いしてもいい?
もちろん!
…………。
(魔術師を弱体化させる魔巧具があるなんて…。
 もしかしたらただの強盗じゃなくて、
 誰かがあたし達を出し抜いた、
 という線もあるかもしれない……)

(そしてなによりも――)
(その魔巧具があれば、
 あの魔術師に対抗できる
 切り札になるかもしれない!!)

◆作者をワンクリックで応援!

3人が応援しました。

◆コメント欄は未記入でもOK! 公開されないのでお気軽に。

ページトップへ