いつかのLip service

4:みとれる

エピソードの総文字数=1,574文字

4限の講義を終えた放課後


やっぱり行きたくなかった。めんどくさい。

無視することも出来たが、連絡先も知らないし、ドタキャンは嫌いなので待ち合わせ場所である校門前に行ってやることにした。

そいつ――みずきは、木にもたれ掛かってスマホを弄っていた。

それだけでモデルのように様のようになって、綺麗で、立っているだけで絵になった。

誰もが目を向けてしまう。顔面の綺麗さだけじゃなくて、そういう人を惹きつけるオーラがあった。声をかけてもいいのか、関わると俺まで注目が浴びそうだ。

……っ
もう、何見つかっちまったぜみたいな顔してるの。ていうか……今、俺に見蕩れてた?
はあ、見蕩れる? わけがないだろう。自意識過剰もいい加減にしろ。
だよねー。自分で言っといてきもいわ。
見蕩れてた?そう聞かれてドキッとした。

実際見蕩れていたが、それを認めてしまってはさらに調子づかせることになるだろう。

もう、早く来てくれないから、声かけられて大変だったんだけど? 対応するのめんどいってー。
それは、悪かったな……って、早く来るも何も時間ぴったりなんだが
あはは、まあ俺が早く来ちゃっただけなんだけど。早く着いて、女の子を待つのが好きなんだよね。今着いたとこ、なんつってね。
……俺は女じゃないが
は?知ってるけど。まあ、誰が相手でもそんな感じだし。1時間くらいなら待てるかも。
すごいな……1時間も遅刻されたら、俺なら絶交だ。10分で限界だ。
はは、短気だねー。見た目どおり。……ほんとは、来てくれないかと思ってたくらいだし。よかったよかった。
今、見た目通りとか失礼なこと言われたが、俺は寛大なので許してやることにした。
じゃあ、いこっか。……あ、そうだ、今度はドタキャンされたりしないように、ID交換しとかない?
ID……ってなんだ?なんのID……?
は? うっそ、まじ? IDって言ったらLINEしかないでしょ。原始人?
LINE……ああ、これか。使わないから忘れてた。
一応インストールしてある。学科のLINEグループというものに入らされたし、高校の友達とはたまにだが連絡し合う付き合いがある。ここ半年は起動しておらず、存在も忘れていたが。
おお……友達5人で、あと公式アカウントしかない……
う、うるさいな。見るな。別に……交友なんてめんどくさいだけだ。
うっ……かわいそう……でも、もう俺が友達だからね。ほら、交換しよ。これ、コードね。
あ、ああ……友達……
んふふ、なに?友達できてうれしくなった?かわいいなあ。
か、かわいくない
そう言いつつ、嬉しかったのが本音だったし、口元も歪んでしまった。

コードを読み込むと、新しい友達の欄に現れたのは、門脇みずきという人物。

その時、初めてフルネームを知ったし、何も知らなかったということを知った。

ふぅん……榊……ってなにこれ苗字? 下の名前は?
何故教えなくちゃいけない。それだけ知ってれば充分だろう。
えーーっ! 不公平じゃん! 名前で呼び合おうよ~~
何故だ、気持ち悪い。俺はお前のことを苗字で呼ぶぞ。
えーー、やだ、みずきって呼んで
名前で呼んでほしいとか、こいつは女か? 俺が折れるしかないのかもしれない。
……わかった、みずきって呼ぶ。でも、俺のことは苗字で呼べ。名前は好きじゃないんだ。
ふーん……いいよっ! じゃあ、榊、ね。わはは、なんか似合わない。ほら、ロケット団のボス思い出してさ、イメージが固まっちゃってる。
ふっ……確かにな。
それは分かる。

昔からアニメを見るたびに怖そうなボス的立場の人が持つ苗字だと思っていた。

だから、自分には似合わない。だからこそ人の上に立つ人物になるため、会社を立ち上げようというきっかけにもなったのだが。

お、今笑った? 
……笑ってない
ふふふ
今絶対笑ったのに、と言いたげな視線を受けた。俺はそれをかわしつつ、俺たちは大学の外へと歩き出した。

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