【ユーザー企画】最高のプロローグ選手権

凪池シリル

エピソードの総文字数=369文字

──白く柔らかな乳房に、ぷつり、と、血の珠が浮かぶ。

siril_nagi

女は、所作からそのような低級な女ではないと分かるのに、夜鷹のように肩と胸を露わに着物をはだけて、押し付けるように刀を抱いていた。

siril_nagi

愛してあげたいの。

siril_nagi

だってこれは愛の物語。ならば、愛することから始めましょう?

siril_nagi

同じ男に愛し、愛されたもの同士。ねえ──?

siril_nagi

この刀を、哀れに思うかしら。粗末に思うかしら。

そうね。欠けて、折れて、血塗れで。歴史に名だたる銘でもない。

siril_nagi

でも、他にこんな姿を残せた刀がある?

これこそが刀の、戦った刀の姿でしょう!?

戦えば、刀は曲がり、折れて、朽ちるのよ!

それでもこの刀は、残したの! その姿を!

その持ち手がどれほどの戦いをしたのか、その様を!


それを、誰が哀れと言えるの!? 粗末と呼べるの!?

siril_nagi

──私の名は明里。


長く歴史に輝き続ける刀より、折れた刀を愛した女。

siril_nagi

──今度こそ。

siril_nagi

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