ソラミミ×DIAMOND

きっと何かが変わり始めている

エピソードの総文字数=870文字

ぱぽー。

と小象が鳴く。

し、静かにしてお願い。先生に見つかったらぁ

 だけど一方で、安堵感があった。小象、死んだと思ったけど、戻ってきてくれた。あのとき潰れて消された子とは違うのかもしれない。けど、あの子が少し成長して戻ってきてくれたみたいに、前よりも少し大きくなっていた。
 どうにか先生には見つからず小象をせきたて学園を出る。

この子、乗っかれるかな。どうしよう

 そう思ったが乗らずに、一緒に歩く。歩くのはなかなか速い。

 草里は今日もいない。

 もしかしたら、さき郡さんが言ったように、四副さんの両親に送金に行っているのだろうか。わたしは少し、四副さんの死体……絵のその後のことを思うと、胸が痛んだ。今頃、感性の狂った町画家の一人が、家にあの四副さんの奇妙な、裸体の、死体の絵を飾っているのだろうか。

ぱぽー。ぱぽー。

小象が鳴く。

気遣ってくれてる? わたしのことなんか……

 草里に、この小象のことを言うべきか迷った。
 言ったらまたすぐに、パレード潰しに行くというのだろう。けど、草里はそもそもまた象がわたしのとこに来るって言い切っていたし、隠し通せはしないか。

はあ

 わたしはため息つく。
 ……パレード潰しのことも、いっそ象のことも、それに四副さんのことも、学園に言おうか。象だってその方が、保護されることになるから安全かもしれない。わたしたちなんてまだまだ子どもなんだし。そうしたら、草里は怒るだろうか。でもわたしは別に草里を恐いとは思わない。草里はあれだけ強いけど、それでもなぜか、わたしが、今こんな才能に恵まれないわたしだけど不思議と草里よりも弱いというふうには思えない。

 何だろう。自信や思いあがり……じゃない。
 それに、草里は怒らないとも思う。怒らないけど、でも今それを言うことは、わたしたちにとって必要なことという気もまたしなかった。なぜか……わたしは草里と友達でいたい。あんな草里だけど。対等な友達として。今は……。

ぱぽー。

わたしの隣を行く小象。パレードの象に比べれば儚いくらいに思える存在だけど、この小象にも、不思議な安堵感があった。

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