怠惰の神とフィクションブック

第7話 金と天下の回し者

エピソードの総文字数=1,045文字

お代はふたりで8万モニーだよ。
あんたら可愛いからおまけしちゃう。

こいつはまいったな。相場がわからんから
ボッタクられているのかどうかすら判別できん。

ひとつだけ確実なのは、
持ち合わせじゃ全然足りないってことっすね。

あらアンタたちお金持ってないのかい?
仕方ないねえ、じゃあ芋の皮むきでもしてもらおうかねえ。

いまどき無銭飲食を芋の皮むきで許すなんて……!
かみさま、このおばあちゃん天使にスカウトしたいっす。

フィクションブック!

ええーっ! なんでっすか!?

私を誰だと思っている。
この怠惰の神に労働を強いるヤツが天使なものか。
こいつはババアの皮を被った悪魔だ。
きっと芋の皮むきだって何かの隠語に違いない。

やぶから棒に酷い言い草っす!
自分の世界だからってあんまりっす!
見守ることしかできない私を許せババアっす!

それはピピルも働きたくないというだけだろう。

皮むきめんどっちいから勘弁っす!

よかろう、それでこそ私の天使だ。

千の世界、万の時代、億星霜の彼方より、
怠惰の神・ネヴェスの名において招聘する。

フィクションブックよ、そのページに新たなる名を刻め!

ズモモモモモモモモモ……

巨万の富と名誉を手にした稀代の英傑よ。
我が盾となり、黄金の砦を築け!

とりあえず金持ち来い!

うぅ……どこだここは?
俺はたしかトラックに轢かれて……。

オカネモチきたーーーーーっ!

わぁーーーーーっ! その人はダメっすーーーーーっ!

さあババア! このどこかの国の不動産王の財布が相手してやる!

おいなに勝手なこと言ってんだ!

トゥンク。あらやだいい男じゃないの。
アンタが払ってくれるのかい?

金か? それで戻れるのか?
チクショウなんてザマだ!
ほらよ、カードだ。一括でいいぜ。

カード? なんだいそりゃ?

今どきキャッシュオンリーかよ!
チクショウ持っていけババア!

なんだいこりゃ。どこの国のお金だい?
こんなの使えやしないよ。

なんだって!?
米ドルは世界共通通貨じゃないのか!?

では不動産王くん、芋の皮むきよろしく!

ちゃんと芽もほじくるっすよ!

あっ! おいコラ待ちやがれ!
チクショウ、なんて逃げ足の速いやつらだ。

それじゃ芋の皮をむいてもらおうかね。
その……アンタさえよければ……
ずっとこの店で皮むきしててもいいのよ……?

チクショーーーーーウ!!!

不動産王(1946~?)
どこかの世界の不動産王。失言が多い。
順風満帆に見えて、実は何度か経営破綻している。
しかしそのたびにカムバックしている敏腕経営者。
その髪型は異次元であり3Dプリンタを用いても再現できない。

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