年上彼氏の多島くんと、私の思い出の喫茶店

3 思い出の行く先

エピソードの総文字数=447文字

そうでしたか……。ありがとうございます。残念だけど仕方ない。由希乃ちゃん、今日は帰る? それともどこか行きたい場所あるかい?
急にいわれてもぉ……
 由希乃はパーカーのすそをいじくり回していて、要領を得ない。
あの、お連れさん、どうされたんですか?
う~ん……実は、この喫茶店、彼女の思い出の場所だったんです。今は川向こうに引っ越してしまったので、気合いを入れて遠出してきたのですが……
あらあら。それは残念だったわね。う~ん、どこかデートに向いてる場所ってないかしら……
 店先で話し込んでいると、花屋から別の店員さんが出て来た。
おい、どうしたんだい?
ああ、あなた。実はこちらの方――
 後から出て来たのは、女性の旦那さんのようだ。
 由希乃たちの事情を説明すると旦那さんは、
お隣のご主人が亡くなったのは残念だが、今この店は、別の場所で息子さんが継いでらっしゃるよ。調度品も什器も昔のままだから、雰囲気だけなら味わえるんじゃないかな。

行ってみるかい?

 ぐずぐずしていた由希乃の顔が、一気にぱっと明るくなった。

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