ソラミミ×DIAMOND

ソラミミとピエロ斬りの草里楓(1)

エピソードの総文字数=773文字

ソラミミ
 草里そうり かえでの声がわたしを呼んだ。
ソラミミ
 もう一度。呼ばれたとわかってからわたしはここにいたのだと気づいて、
……えっ
 目を開ける。ここは学園の……教室、か。
また何か聴こえていたの?
 わたしは、空丘耳穂そらおか みみほで、ソラミミと呼ばれてて、ソラミミが聴こえたことなんて一度も無い。けど、草里はなぜかいつも「また」と言う。
聴こえてはないけど……
いっちゃってはいたのでしょ
そういう言い方は、やめてよ
 ソラミミがまたいっちゃってたのだって。くくく。などと笑い合う、周りの友達の声。教室の風景がぼんやりと戻ってくる。
どれ見せてみ
 草里がわたしのぎゅっと握ったままの手のひらをこじ開ける。
勝手に開けないでよ。ひとの手のひらを。もしかしたら何か、あっ、ちょっとぉ
お、固いな。ほら力ぬいて
そんな無理矢理
これはほんとに、もしかすると
 苦労してこじ開けてみれば、わたしの右手のひらは、雫に濡れている。少しだけきらきらして見えるそれ以外には、何もない。だめだった。持ってくる間に、また溶けてしまったんだ。
あーあ。これじゃなぁ
 じっと真剣な眼差しだった草里がため息つくと、寄ってきていた何人かの女子らもやっぱり。と言ってめいめいの席に戻っていく。すると、彼女らに隠れて見えなかったが、背の低い担任の赤居が呆れ顔で腕組みしている。
あ、先生。今、授業中だったのですか
空丘さん。あなたの昼寝は責めないわ。そういう決まりみたいなものですから。減点にもしないし。だけど……あなた才能は、さっぱりだめそうね。期待されてたのにね
 わたしはこの学園に来る前、草里いうところの、わたしがいっちゃう場所……から、そこにしかない、不思議な、宝石みたいなものを持ち帰ったことがあるのだ。その特別な才能を認められてわたしは今年、この学園に来ることになったのだったけれどー―

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