フェンリル娘と始める異世界生活

21話:外へーー

エピソードの総文字数=2,587文字

よかった……ひとまずなんとかなったみたいだ

ひとりごとのようにつぶやくと、近くに来ていた三人が反応する。


ああ、三人とも僕はもうちょっとこの娘をみていたいんだけど、よかったら見張りをお願いしたいんだけど。だめかな
……なんていうか……なあ?
正直言って何をどうしたのか検討もつかないけど、フェンリスヴォルフレイスの暴走を完璧に止めるなんて誰もできなかったことなんだな……
えっと……それは……

できたんだけど理屈はシューマにもわからなかった。なんとなくとしか言いようがない。


さっすがだな!もちろん見張りは任せてくれよ! アニキ!
え、何アニキって?
クラークの言う「アニキ」に強烈な違和感を感じたシューマは即座に聞き返す。
いや、だって、俺たちだけじゃあ絶対Dランクネズミも倒せなかったし、ボスなんて夢のまた夢だったんだ。

それが「暴風」のおかげとはいえ倒すことができたのはアニキの功績が大きいだろ?

俺たちもアニキのおかげでなんかもっと上を目指せそうな気がしてるんだ。

だからこれからアニキのことはアニキって呼ばせてくれ!

いいな!それ。俺もアニキって呼ぶぜ!改めてよろしくなアニキ!
ふふふ。それじゃあおいらもそう呼ぶことにするんだな。これからもよろしくなんだなアニキ。
えええ……。いいのかなぁ。僕がそんな風に呼ばれるなんて

そんな風に呼ばれることなど前の世界では一度も無かった。

学校生活では深い仲の友達はできず、入社して5年経っても人望のかけらもなかったシューマにとって実はアニキと呼ばれることにまんざらでもなかった。

気を抜くとにやけそうになりそうだった。

そうしてシューマたちは気を緩めずも談笑しながら明るいトンネルないで夜を明かすことにした。


どのくらいこうしていただろうか。フェリルの内圧は波を通り越し、小康状態になっていた。

王様ねずみがいなくなったことで環境に変化があったのかネズミがシューマたちをおそうことはなかった。


そして時間の感覚がなくなっていく。そして重い眠気がだんだんと忍び寄ってきていた。もしかしたら夜が明けたのかもしれない。


そのとき遠くから人の声らしきものが聞こえてきた。

人だ!


一瞬にして目が覚める。

もしかしたら救援なんだな!
よし、呼びかけるぞ!うおおおおおおおおおおいい!!
エディが前屈みで大声で叫ぶ。
うおおおおおおおおおお!!


クラークがダブルバイセップスをしながら叫ぶ。


(それが一番声でるの……?)


現れたのはだいぶ前に見たような気がしてしまうが今日、あるいは昨日見た人だった。


受付嬢だ。

申し訳ありません!! われわれの管理が行き届いておらず、あなた様方に多大なご迷惑をおかけしました!


息も絶え絶えといった感じに走ってきた受付嬢がその場で謝罪する。

その周りには護衛と思われる騎士が。


ーーえ? いえ、受付嬢さんは何も悪いことはないですよ。

僕たちが罠にはめられたのはほかの開拓者のひとでしたから

いいえ! そのような行動をする劣悪な開拓者を防疫するのもわれわれの責務。

いくら誰でもなれると言われるFランクの方であろうとも他人にすすんで害を及ぼす人間は問題外です!

はあ、そうですか……
開拓者になって2日のシューマにはあんまりぴんとこない。
安心してください。あなた様方を陥れた下手人は小結界の破壊の罪でも処断されます
……どうなるんですか?
安心してください、都市国家認定上級死刑執行人《エクスキューショナー》が処刑《エクスキューション》しました!
あっはい

(ううう、あんまり聞きたくない気がしてきた……)



……こほん。それにですね、それだけではなく、今回もっと大きな問題があったのです
地下下水道のダンジョン化なんだな
そのとおりです
ダンジョン化っていうのはボスがいることが条件だったっけ
はい、その認識で間違いありません。

ダンジョンというのは野良の魔物がたむろしているのとは訳が違うのです。

ボス、ダンジョンの主が存在することで、その主の発生させる反結界の効果で「王」の結界が薄くなってしまうのです。

そこにつけ込んで魔物が大量に発生します。

そしてその規模に合わせてボスが強大化、さらに結界をむしばんでいきます。まるで虫歯のようにです。

それで起こるのが魔物の魔物による魔物のための完全なる領域化、です。

完全に人が住める環境ではなくなります。

放置しておくとそれだけで都市の崩壊を招きます

今回は都市の中にそのダンジョンができてしまったと
管理されたダンジョンなら都市の中にも存在します。

ですが今回は管理不行き届きのダンジョンです。

そしてこんなことは前代未聞です。

これだけで危険度がわかってもらえると思います

下水道の管理者はどうしてたんだ?
早期発見を見逃したということで即時謹慎させました。

しかし、原因が究明できていない以上発見が可能だったのかどうかが焦点となっており解雇とまでは至りません。

それはいいね。解雇はだめだよ。解雇は。人生変わっちゃうからね。

ありがとうございます。

今回の失敗を踏まえ、さらなる協会の管理を強めて参りたいと思いますのでよろしくお願いします





ーーーーそれでは今回の5人の方々の報酬をお伝えします。

ダンジョン名「下水道ネズミ王国(仮)」の開拓の功績により、フェリル様はDランク上位、エディ様、ブラームス様、クラーク様そして、シューマ様四名がEランク上位へと昇格されます

昇格っ!!?
おおおおおお!!すごいんだな!
すげえっ!!Eランク上位だ!
上がるとは思ったが、一気に上がったな!!
アニキなんか一気に3ランクあがってるぞ!

開拓者になって二日でこれは前代未聞じゃないか!?

やばいな……アニキきてるな……
きてるな……
きてるんだな……
だから僕を囲まないでっ!!?
みんなが昇格したんだからみんなすごいんだよ!

それでいいじゃない!

アニキのその言葉、感激なんだな……
アニキ……ええこや……
惚れてまうやろぉ……


テンションが上がって妙な雰囲気になっているが、それはたぶん助かったというのも大きかった。


その後は受付嬢に連れられて安全に地上に帰ることができたのだから。


むにゃむにゃ……
(ほああああああああああ)

シューマはフェリルをおんぶして(背中に感じるやわらかさと両手のひらに乗っかったふにふにのおしりのやわらかさ加減に全神経を集中させた)、鎧はパーツごとに三人衆がもってくれた。

いやいや僕ばっか役得でごめんね。






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