頭狂ファナティックス

全裸土下座

エピソードの総文字数=2,622文字

はあ!? あんた何言ってんのよ!?
 銀太の言葉に楓子は信じられないという表情で叫んだ。
負けた以上、何でも言うことを聞くんだろ? だから全裸で土下座してもらう。決闘をする前に言っただろう、僕たちに上下関係をはっきりさせなければならないと。
 楓子は困惑した顔つきで紅月を見て、視線で助けを求めた。
その変態は本気だぜ。銀太は普段はなよなよして、優柔不断に見えるが、やるときはやる奴だ。そいつが全裸で土下座しろと言った以上、楓子、お前には全裸で土下座する以外の選択肢はない。
 頼りにしていた紅月まで銀太の味方をしたために楓子はたじろいでしまった。
さあ、脱ぐんだ。上から一枚一枚、ゆっくりと。何なら下から脱いでもいい。きみは僕に負けたんだ。拒否する権利はない。
ちょっと待って、ちょっと待って! 二人とも本気なの!? そういうのって、思ってはいても実際には言わないやつでしょ!? 私は本当に全裸になって土下座しなくちゃいけないの!?
そのとおりだ。
 そう答えた銀太の目つきは真剣そのものだった。その黒檀のような目を見て、楓子は全裸で土下座しなければ、この場は収まらないことを悟った。
わかった、わかったわ。私も絶対に勝つつもりでいた。そして勝ったあかつきにはそれなりにひどい命令をするつもりでいた。あなたほどではないけどね。だから大室くんの命令は聞くわ。でも、脱いでるところは見ないで……。
 視線を足元に下ろし、しおらしく楓子は言った。その姿は銀太と紅月、二人ともが即座に抱きしめたいと思うほどいじらしい仕種だった。しかし銀太は言った。
駄目だ。ここで、僕たちが見ているところで脱ぐんだ。
何よそれ! 変態! 鬼畜!
こいつの本性はただの鬼畜だぞ。普段の温厚な口調は人を騙すための方便だ。楓子、諦めて脱ぐんだ。羞恥も外聞も捨てろ。お前に必要なのはそれだけだ。
 紅月の無慈悲な言葉に楓子は覚悟を決めたようだった。しかしジャージの上着に手をかけたところで、やはり躊躇いを見せた。
本当に脱がなきゃいけないの?
 楓子の眼差しには普段の傲慢な性格ではなく、かよわい女の子の性質が宿っていた。だが銀太は人の心をおおよそ持ち合わせていなかった。
脱げ。それが敗者の宿命だ。
 楓子はすでに日和見る状況ではないことを悟り、呻きながらジャージの上着を脱いだ。純白のフリルのついたブラジャーが現れた。
ほう。意外と、無垢な下着を着けているんだな。下の方も合わせているのかな?
 銀太の言葉に楓子は顔が赤くなった。
だって、人に下着を見られるなんて考えていなかったのよ……。下着姿で許してはくれない? 土下座はするから……。
駄目だ。きちんと全裸になって、土下座をしてくれなくては。
うう……。この鬼畜野郎……。
 楓子は下のジャージに手をかけた。しばらく逡巡していたが、ついにゆっくりと下した。
ふむ。真っ白でシンプルな子供っぽいパンツだ。これは打点が高いぞ。
私だって、体育がある日とか、人前で着替える機会があるときには黒い下着を履くわよ……。でも今日はそうじゃなかったから……。
 下着姿の楓子は両手で胸元と股座を隠した。
俺ですら、女の子にこんな目は合わせないぞ……。銀太は本当に敵に回したくないな……。
 畏怖とも、驚愕ともつかない様子で紅月が呟いた。
それでは、下着も脱いでみよう! それが敗者の宿命だ。
 銀太が快活な調子で言った。
 楓子は恐るおそるブラジャーに手をかけて、ホックを外すと、地面に落とした。
へえ。乳首は綺麗な色をしているんだな。紅月よりも色が薄い。
解説しないでよ!
 楓子は叫んだが、銀太は聞いていなかった。
それじゃあ、次は下だ。女の子の恥ずかしい部分をじっくりと観察してやる。
うう……。
 呻きながら、楓子はパンツに手をかけた。しかし同年代の男、それも宿敵認定している男の前でパンツを下すのは当然、抵抗があった。
脱ーげ! 脱ーげ!
 手拍子を打ちながら、銀太は催促した。楓子は羞恥にさらに顔を赤くしながら、躊躇いがちにパンツを下した。
少しばかり毛深いな。手入れはちゃんとした方がいいと思うぞ。
いちいち感想を言わなくていい! あと冬は手入れする必要がないの! 男にはわからないかもしれないけど!
 胸と局部を手で隠しながら、楓子は恥ずかしさから身体をもじもじと捩った。
隠すんじゃない。さあ、そのまま土下座だ。
本当にやらなきゃいけないの? もうこれで許してくれないの?
 楓子は目に涙を溜めながら、銀太を見た。
駄目だ。土下座してもらう。
こいつ、本当に無慈悲だな。人間を名乗るに値しない。
 無言で楓子の全裸を観察していた紅月がつい思っていたことを口に出した。
 楓子は地面に膝をついた。しかしそこで逡巡をしており、頭を下げることに最後の矜持が邪魔をしているようだった。
土・下・座! 土・下・座!
 再び銀太は手拍子を打ち始めた。
 楓子は悔しさから歯を食いしばり、呻き声を上げながら、両手をつき、頭を下げた。
素晴らしい土下座だ。しかし額をきちんと地面にこすりつけなければならないな。
 銀太は楓子の頭を踏みつけた。力強く踏んだために、楓子の額は濡れて柔らかくなった地面に少しばかり沈んだ。
畜生! この外道が!
僕だって本当はこんなことはしたくない。でも勝負の前に言った通り、ここらでお互いの上下関係をはっきりさせなきゃならなかったんだ。僕たちは中等部のころから互いを憎しみ合っていた。その無益な諍いに決着をつけるために、序列を決するのは必要なことだったんだ。これは必要悪というやつだ。
ノリノリで全裸土下座させといて、よくも抜け抜けと!
 銀太と頭を踏みつけられている楓子が言い合いをしているあいだ、紅月は楓子の背後に回り、しゃがみこんだ。そして肛門をじっくりと覗き込んだ。
いいケツの穴しているぜ。心のペニスが勃起する。皺の一つひとつまで綺麗だ。ひくひくと動いて、俺を誘っているのか? もしも俺におちんちんが付いていたなら、迷わず突っ込んでいるね。
紅月は何をしているの!? 私のお尻の穴を見ているの!? 見ないで!
甘美だ! 女の子を全裸にひん剥いて、土下座させることの甘美よ! これが人生か!
 銀太は叫ぶと同時に、さらに足に力を入れたために、楓子の額はさらに地面にめり込んだ。
殺してやる! 殺してやる!
 口の中に入った土を唾液とともに吐き出しながら、楓子は喚きたてた。
 銀太と楓子の勝負はこのような顛末で片が付いた。

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