黄昏のクレイドリア

15-3

エピソードの総文字数=707文字

…………。
…………。
木々の間からも、大地を穿つ勢いで
降り込んでくる雨に打たれながら、
2人は子供の小さな足跡を追っていた。
(……半刻は歩いた、
 そろそろ目的地が
 見えてもよさそうだけれど)
…………ん、
カノンが考えた矢先、
何かを発見した
ディーンが声を漏らす。
茂みに紛れながら、
囲むように設置された柵が
彼の視界に映った。
どうやらここが、
目的の場所みたいだ。
……さて、
どう侵入したものかしら
そうだなぁ……
あの子は村の事をああ言っていたが、
単純に反抗的なだけかもしれない。
……そういう年頃だろうし。
下手に警戒して村人を刺激してもまずい。
警戒しすぎず、無難に、
適当な民家を訪ねる、か。
カノンの言葉に
ディーンが一つ頷くと、
柵を越えて、村の中へ入っていった。

--------------


静かね……
この天気だから
当然といえば当然なのだが、と、
心の中で付け加えながら
カノンは村を見渡した。
家屋が6軒。そして長が住んでいるであろう、
周りよりも多少立派な家が1つか。
うん、まごうとなき村だ。
(……確かに、此処は
 "惑わせ"のエリアからは
 外れている、か……?

 でも、こんな村が存在していたら、
 見落とすはずがないんだがなぁ……。)

それじゃ、手始めに……
カノンの一番近くに建っていた
家屋の戸に近づき、
2回ノックしてから口を開いた。
失礼します。
旅の者ですが、屋根を貸してくれませんか?
ひどい雨なんです!
応えはない。
…………。
つい最近経験した
流れにため息をつきながら、
めげずに声をかけ続ける。
すみません!
誰かいませんか――
あーはいはい、今開けますよっと
!!
戸の内側から声が返り、
言葉と共に足音が近くなる。

そうして、ノックをしていた扉が開かれた。

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