【4/1】ダンゲロスSS(9) 兜海老vs滝口流

兜海老

エピソードの総文字数=2,900文字

こちらにて兜海老さんが執筆します。他の方は書き込みをお控え下さい。

繁華街から外れた路地裏の一角。

「何か」から逃げ惑うひとりの少女。

そしてついには逃げ場を失う。袋小路だ。

kbt-ebi

はぁ、はぁ、はぁ・・・え、嘘、行き止まり!?

絶望する少女。

そして後ろを追ってゆっくりと「何か」が姿を現した。

kbt-ebi

あーーー・・・・

ゾンビである。

火葬の日本に、どのようにして蔓延っているかはわからないが、最近街に湧いて出るようになったのである。

政府はゾンビに賞金を掛け、退治を促してはいるがーーー

まさかこんな繁華街にまで出ようとは思っていなかった。

だが少女の後悔はすでに遅い。

kbt-ebi

あうあー・・・

ひ・・・!

おぼつかない足取りで、しかし確実に少女へと歩みを進めるゾンビ。

もうダメか・・・!

kbt-ebi

お、間に合ったみたいだね。

だがそこに現れたのは重火器を携えたひとりの男。

ゾンビを狩る賞金稼ぎ、畑楽木・宅内である。

kbt-ebi

ちょっと失礼するよ。

そしてマシンガンをゾンビの足元に掃射。ゾンビの足は肉塊となり地面に倒れ伏す。

kbt-ebi

さてもう大丈夫、と。

足元のゾンビの頭を打ち抜き、トドメを刺す。

kbt-ebi

あ、ありがとう・・・

あー、いや、まだはやい。

男は手に持った「情報電子端末Sherry」に目を落とす。

それはワールドワイドウェブに接続することで、あらゆる情報をデータ化し閲覧することができる。

そこに映し出されたのは衛星からの映像か。

この場に集まりつつあるゾンビの群れを映し出していた。

kbt-ebi

こいつは大量だが。お嬢さん、ちょっと今すぐ逃げるのは無理だからその辺に隠れてな。

俺がやられたら、まぁオシマイと思って、な。

え、ちょっとまって・・・!

しかし少女の静止を無視して袋小路を出る男。

問答している余裕はない。

そこにはすでに数体のゾンビが。

kbt-ebi

さていくよ・・・!

男が銃器を構えたそこへーーー

kbt-ebi

今夜はまた、随分と賑やかな夜だな。

また一人。

そこに姿を現したのはフードを被った黒ずくめの男。

手にはブ厚い革のグローブ、そしてひときわ目を引くのは背中に背負った大きな十字架。

kbt-ebi

ご同業?

イカレた格好ではあるが、その出で立ちはゾンビ狩り目的でないと説明がつかない。

とりあえず畑楽木はそう判断してみた。

kbt-ebi

同業?

オレはV・H(ヴァンパイア・ハンター)「D」。吸血鬼を滅ぼすために戦っている。お前もそうだというのなら、そうなのだろう。

吸血鬼?いや、俺がやってるのはゾンビ狩りだから。

じゃあ君は何しにここへ?

ゾンビ狩り?オレはこの「吸血鬼になりそこねたグールども」を片付けるためにやってきた。


(吸血鬼じゃなくてゾンビなんだけど)

まぁいいや、じゃあちょっと、数も多いし一緒にやってくんないかな?

もとよりそのつもりだ。

背中に差した、バットほどもある十字架を抜き放ち構える「D」。そのままそれをぶん回しながら、ゾンビの群れに飛び込んでいく。

kbt-ebi

ああ、じゃあそっちは任せた。俺はこっちを、ね。

「D」とは反対側のゾンビに銃を放つ畑楽木。

そして「D」はーーー

kbt-ebi

滅びろ、吸血鬼ども!

「D」の繰り出す十字架に当たったゾンビは、見る間に煙を上げ、燃え上がる。

kbt-ebi

これがこの男、魔滅・大悟郎の能力「V・H・D」(ヴァンパイア・ハンター・ダイゴロウ)である。

聖なる十字架に念を送ることにより、吸血鬼を滅する力を与えることができる。

 ・・と考えているのは本人の妄想であり、実際には、ただ単に、彼が「聖なる十字架」と認識したものを「熱くする」だけの能力である。

その熱量は十字架の大きさに比例し、この程度の大きさならば、ゾンビを火葬することもたやすい。

kbt-ebi

ほぉ、やるねぇ・・・

全面のゾンビをあらかた片付けた畑楽木が横目で「D」の戦いを眺め、賞賛する。

これは便利だ。

kbt-ebi

数が多いとは言え所詮は動きの遅いゾンビ。

ふたりの敵ではなかった。

そこには死屍累々とゾンビが横たわっている。

kbt-ebi

いや助かった。分け前は半々かな?

分け前?オレは吸血鬼を倒すためにいる。

報酬などいらん。

カッコ良いねぇ。まぁそれなら全部俺のものってことで。

ーーー俺は畑楽木・宅内。また会うこともあるかも知れない。そのときはよろしく。

ああ。

ーーーそうだ。アンタには必要ないかもしれないが、吸血鬼よけの「聖なる十字架」だ。

いぞというときにアンタを守ってくれるだろう、受け取ってくれ。

「D」から差し出された小さな十字架。

それを畑楽木は何気なく受け取りーーー

kbt-ebi

熱っ!

十字架を受け取った畑楽木のてのひらには、赤くやけどの跡がついていた。

kbt-ebi

ーーー!

「D」の気配が変わる。

明確な殺気を畑楽木に対し放っている。

kbt-ebi

何だ?

キサマ、吸血鬼だったのか・・・!

一体何を・・・!?

ホーリー・クロス。それに焼かれたことこそが、キサマが吸血鬼である何よりの証拠。

残念だ。     

・・・くそ!

コイツはヤバい。

瞬時にそう判断した畑楽木は一目散に走り出した。

無論自分は吸血鬼などではないが、それがコイツに通じるか。

あの眼は絶対通じない。

kbt-ebi

ゾンビ以外は殺る気はなかったが、これは仕方ない。

角を曲がったところで手榴弾を取り出し、元きた通路に放り投げる。

kbt-ebi

どぉん!

kbt-ebi

手榴弾は「D」の居た通路を吹き飛ばす。

初めにいた袋小路がどうなったかは分からないが、今はそれどころではない。

kbt-ebi

やったか!?

煙さめやらぬ通路に目を向け確認するがーーー

その上をゆうゆうと飛び越えるひとつの影。



kbt-ebi

「D」である。

kbt-ebi

Dが手にしたのは小さな十字架を鎖のように連ねたもの。それを建物の配管に絡め、宙を舞ったのだ。

kbt-ebi

吸血鬼は滅ぼす。

くっ・・・!まて、俺は違う、吸血鬼じゃあない。

背後をとられ、畑楽木は完全に抵抗できない。

kbt-ebi

そうだな。追い詰められた吸血鬼は皆そう言う。

だが、十字架に焼かれた以上、キサマは吸血鬼だ。逃れようはない。

まてまて、俺は血を吸ったりしない、さっきのほら、「吸血鬼のなりそこない」とかも一緒にやっただろう?

そういえば、最初にいた女の子の血も吸わなかったな。

だがな・・・血を吸うやつは吸血鬼だ、血を吸わない奴は訓練された吸血鬼だ!

そうして大十字架を振りかぶる「D」。

kbt-ebi

え、それじゃあ、どうしても吸血鬼じゃ・・・

!!!!!!

「D」に十字架を背中に押し付けられ、声にならない悲鳴を上げる畑楽木。

ゾンビを焼き払ったその十字架の熱量は人間も同様に焼き尽くす。


畑楽木はあっという間に炎に包まれ、そしてそのまま地面に崩れ落ちた。

kbt-ebi

(もっと・・・情報を集めておくべきだった。この男の存在さえ事前に知っていれば、ここには近づかなかったものを・・・)

そうして畑楽木は息絶えた。

kbt-ebi

夜が明ける。

そこには無数のゾンビと畑楽木の死体。

そして無茶苦茶に飛び散った袋小路。

kbt-ebi

・・・今日は疲れた。

頼りになる仲間ができたと思ったんだが・・・いや、ヴァンパイア・ハンターは常に孤独。

この世の吸血鬼を討ち滅ぼし尽くすまでオレの戦いは終わらない。

朝日を浴びながら路地を後にする「D」。

ゾンビが何の影響で増えているのか、まさか本当に吸血鬼の仕業なのか、それは結局分からない。

だがしかし、ゾンビがいるのだから吸血鬼がいてもおかしくはない、かもしれない。

kbt-ebi

明日もまた、「D」はどこかで「吸血鬼」認定されたものを焼き殺していくのだ。


END

kbt-ebi

23時半!終了です!

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