黄昏のクレイドリア

16-1

エピソードの総文字数=901文字

リミッターにしていた魔巧具も損壊、

そんな危機的状況で殴られて気を失って……

ピンチだよなぁ?
(……………………。)
足りない……、足りないだろ? 

"俺"を満たすための、魔力が!!


器が元の大きさに戻っちまったんだ、

これっぽっちの量じゃ、腹が減って仕方がないだろ?

(…………だが)
カノンがいるから平気だって?
(…………。)
まー、あいつがとんでもねぇ

魔力を持っているのは確かだ。


でもよ、それなら……








喰っちまったほうが早いだろ?


……ッ!!

呼吸を荒げながら

身体を起こしたイーリアスは、

冷静を装うために頭へ手を当てた。

(今の、夢は………)


 

(……………夢?)

(いつから俺は眠っていたんだ)
!!
暗闇のなか、

気配のした方向へ視線を向け、身構える。

…………。
蝋燭の火を揺らめかせ、
石の床を反響させながら
青年は鉄格子を挟んで、イーリアスへと対峙した。
……起きたか、魔術師。
此処は何処だ
ハッ、白々しい。
お前達から侵略しておいて、
何をいまさら。
……何の話だ。
とぼけても無駄だ。
お前等のような卑劣な魔術師が……、

俺たちの盟友……エルフを殺した事を、

絶対に許しはしない。

お前たちがそうしたように、
俺たちも……お前たちの仲間を
皆殺しにしてやるからな。
!!
青年は憎悪を隠すことなく言葉を告げると、
再び階段を上がって去っていった。
(エルフを、殺した……?


 なんの話だ。身に覚えがない。)

(そもそも、エルフは滅んだと

 伝えられるほどには

 数が存在しないはずだ。 


 現に……生存しているエルフ、 

 フィリカだってそう言っていた。)

(しかし向こうは、
 一方的にこちらを敵視している。
 何もかも情報が足りていないが……)
このままだと、カノン達が危ない。
闇に慣れてきた目で辺りを見回すが、
天然の地下空間に、
整然と突き立てられた鉄格子と
地上へと続く階段以外、
めぼしいものは何もなかった。

(呼石……所持品に、

 隠しナイフも押収されているか…… 


 だからといって、今魔術を使うのは――)

(……もう少し、様子を見るか。)
歯噛みしながら、

無駄に体力を消耗しないために目を閉じる。


光の届かない闇の中、

先ほど見た悪夢を振り払いながら。

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