いかに主は導きたまうか。

10.3 Deciplin 頭。

エピソードの総文字数=1,623文字

3. 返品の仕事:

  商品(本)は一定の期間内であれば、返品すれば返金が行われる。その期間は、だいたい受取後二年間ぐらい。商品(本達)は社外をグルグル回っているか、会社の本棚に眠っているかのどちらかだった。これら(売れなさそうな本)を集め、梱包し、海外に送り返すのもボクの仕事であった。

  本棚の該当品をチェックした後は、各営業マンのファイルを集める。ファイルには、顧客預かりであることを証する伝票が入っている。*社外にある該当品を探すわけだ。該当品の伝票を見つけたら、回収を担当の営業マンに依頼する。いざやってみると、[期限アウト]にしてしまうことが意外と多かった。アウト品は[死産]として棚の肥やしと成り果てる。*情報は鮮度が命だからね。

  考案としてラベルを作った。〈黄〉と〈紫〉と〈赤〉の小さなラベル。伝票に〈黄〉のラベルがあれば、そろそろ回収ですよ、〈紫〉のラベルが付いていたら、次回のチャレンジは諦めて、ボクに本を渡す。〈赤〉のが付いていたら、大至急で回収に尽力する。良く見えるようにホッチキスで留めていった。このことにより、返す身としては余裕を持って仕事を進めることができるようになった。

  しかし、〈赤ラベル〉の本が、戻りが悪いことに気付く。自分の役目ということもあって、「ハラハラ」「イライラ』してしまう。理由を営業マンに尋ねても、どうやら預けた相手に、お茶を濁されているようにしか聞こえなかった。相手がメーカーなら、その辺は「チャンと」してくれるのであろうが、大学の研究室が相手では、そりゃ行方不明ぐらいは起こりうる。*部屋のどこかに埋もれてしまう。ましてや相手が、APやら場合によってはPであれば、本屋風情が強くものを言える相手ではない場合もある。「研究室もえらく雑然としているところもあるしな〜」と、立場が同じであれば思えたのだが....。そこはそれ役目があるし...、他人にはとことん厳しく己には滅法甘い〈ボク〉である(w)。ましてや、両親が ”痛く” 強烈に強引なタイプであったり、アメリカ風(かぜ)にツイこないだまで当たっていた身としては、日本的な、京都的な、”やんわり”、”はんなり” 相手をよく慮って、依頼を根気よく続けることなど絶対にできよう訳がないボクである。「お前、ほんまに男か?」「付いてるもん付いてるのか〜?」「とっとと、もって帰ってこんか〜い!!」とか言ったのか、言わなかったのか.....。まあ、似たようなことは言ったと思う。*相手が純朴な人のいい「叔父樣方」だったのでできたこと。持って帰って来てくれた時には、大いにその侠気を讃えさせては頂きました。


補記:

この会社を始められたのは京大の元先生だった。ご友人達の希望で、この見計らい売りの本屋を始められたとのことだった。社員の皆さんは地方から高校卒業と同時に出てこられた方も数名いた。

会社に入って間もない頃、ある最古参の方がボクの出社後に出てこられた時、なんの挨拶もされなかったので「挨拶ぐらいせんかい!」と新米のボクは怒鳴って言ってしまう。怒りのあまり、この方は「あうあう」言うばかりで、なにも言葉にすることさえ出来ない有り様になっておられた...。「その折は大変失礼をいたしました」。「ごめんなさい」。

セットものはセットとして返却しなければならない。これがルール。しかし、不思議と一冊だけを求められ、断れなくて売ってしまい、セットが崩れる場合があった。これは抜けたもののみを取り寄せて、セットに復元してから返却をした。二重帳簿は止むを得ないものと思った。

アメリカの文化においては、無責任(Irresponsible)であることが大変に忌み嫌われる。また、褒め言葉としては『He is a man who gets the job done』が印象に刻まれている。

これは〈心〉にいれるべきものだったかも。

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