黄昏のクレイドリア

18-2

エピソードの総文字数=1,049文字

<とある家屋の玄関先>
…………。

降りしきる雨の中、

火刑の準備を終えて閑散とした広場へ、

青年は一人歩き出た。

……さて、そろそろか

火刑の為に組みあげられた木々に触れ、

目を閉じて集中する。

すると、木々を中心に雨粒をはじきながら

球体に空間が広がっていく。


その球体が村一帯を覆うと、

木々は乾き、雨はすっかり止んでいた。

(四属性の内、一つの属性に

 耐性をもつ結界魔術……。


 これが、あの時に完成していれば――――)

よう、魔術師サーン。

そのまま結界展開よろしく頼むぜ

俺も雨で濡れるのヤだし

?!

すれ違いながら

イーリアスは言葉を告げると、

手をひらひらさせながら走っていった。

あの魔術師、どうやって脱出した…?!

そもそも、あいつの魔力は

ほとんど枯渇していたはず

……あの女が、

魔術師の魔力を補った?

魔力は全く感じなかったぞ……!

ちょっと!
!!

イーリアス……じゃない、

あんた達が捕まえてた

魔術師はどこ行った?!

何を馬鹿げたことを言ってる、

貴様があの魔術師の

脱走の手引きをしたんだろう!

(……今はこの女から

 とてつもない魔力を感じる……

 どういうことだ?!


 こんな目立つ衣も纏ってなかった――)

そのつもりだったけど

今は状況が変わったの!

このままだと、あんた等みんな

あいつに殺られるわよ!!

なんだと?
うわぁあああああッ!!
!!

……っ、

言ってるそばから!!

!!

まっ、待て!!

カノンは脱出した際に取り戻した

得物を抜刀しながら、

悲鳴のした家屋へ一目散に駆けつける。


そして、息を整えながら

扉から家屋の中へと目を凝らした。

う"ッ、あぁあア……
!!

そこには床へ伏せた幾つかの人影と、

地より伸びた影の鎌によって

心臓を穿たれ、宙に浮かぶ村人の姿があった。

よう、来たか
イーリアス……!

まーそんなカッカすんなって。


此処で一つクイズだ。

この村人には何かがおかしい点がある。

さて、何がおかしいでしょうか?

は……?

悪びれる様子もなく、謎かけをしてくる

イーリアスに眉を潜めながらも、

言われるがまま、カノンは村人を注視する。


何故なら、カノンの眼から見ても

大きな違和感がその村人にあったからだった。

血が……出て、ない?

正解。一体なんでだろうな?

それじゃあ、もう一つクイズだ。

後ろにいる魔術師も、

血はでないのでしょーか?

なっ……
…………!!

穿った村人を払い落とし、

カノンを追ってきた青年へ

狙いを定めた鎌は、

影を縫って肉薄していく。


屋内の光景に衝撃を受けた青年は、

声を挙げる間もなく、

硬直して動けないままだった。

フランツ!!

影の針は身体に孔を空け、

肉片が舞った。

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