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商人の護衛【フラメイさま】

エピソードの総文字数=2,096文字

【フラメイ】

「町の外は故郷とそんなに変わらないな」

ギルドから依頼を受けたフラメイは商人とと共に町を離れ、トラス村に向かっていた。

rabbit1923

【フラメイ】

「それにしても……モンスターとはなにか、考えさせられますね」

待ち合わせの門前にいた商人は荷馬車(荷馬車というより荷車)と一体のゴーレムを従えていた。



その様子を思い出しながら首を傾げていると荷台に腰掛けた白髪の老人の笑い声が聞こえた。

rabbit1923

【商人】

「フォッフォッフォッ。モンスターといることはそんなに不思議かい?」

【フラメイ】

「いえ、私の故郷でも従えている者はいました」

【商人】

「ふむ。わかったぞ。お主が言いたいのは契約……じゃろ?」

【フラメイ】

「はい。
しかし、あなたとゴーレムは契約をしていない。なぜですか?」

【商人】

「答えが知りたいか。簡単なことじゃよ」

【商人】

「わしらはな、友達なんじゃよ」

【フラメイ】

「……友達…………」

【商人】

「契約者という職もある。しかし彼らは心を開かないモンスターの心を温め、人とモンスターのかけ橋となっとる。

お主の故郷がどうかは知らんが少なくとも今はゴーレムが荷馬車を引くなど日常の光景じゃよ」

【フラメイ】

「どうやらそのようですね。

外の日常は私の非日常のようです」

【商人】

「なかなか面白いことを言うじゃないか。
イワンヌもそう思うだろう?」

【イワンヌ】

「…………………………………………」

【商人】

「そうか、そうか。フォッフォッ」

【フラメイ】

(商人はどうやってゴーレムと会話を?)

一疑問去ってまた一疑問。
フラメイが新たな疑問に首を傾げようとした時だった。


ピタッ


そんな音が聞こえそうなほど自然にしかし鋭敏に商人とイワンヌの空気が変わる。

rabbit1923

【フラメイ】

「どうしました?」

【商人】

「わしはな。己の命を守るためにスキル『観察眼』を持っとる」

【フラメイ】

「!!」

【商人】

「来るぞ!  ゴブリンの群れじゃ!」

【イワンヌ】

ーーーー……

イワンヌの見つめる先。山の麓、暗い森の中から約十人ほどの小柄な集団が出てきた。


一糸纏わぬ姿で現れた全員の肌は赤黒く腫れ上がっている。

rabbit1923

【フラメイ】

「商人!    人です!    すぐに手当てを!」

【商人】

「お主!    ゴブリンを見たことがないのか!?    不用意に近づくんじゃない。危険じゃ!」

【フラメイ】

「え、――――っ!」

現れた集団に駆け寄るフラメイ。
怪我人の一人と目が合う。

爛々と光る目玉。太く鋭い爪。なにより額から隆起した真っ赤な角がソレは人ではないと本能に呼び掛ける。

rabbit1923

ギュエエエェェ!!!

叫び声に反応した周りのゴブリンたちがフラメイに飛びかかる。

rabbit1923

【フラメイ】

「くっ」

ギュェッ

フラメイは持っていたケースで叫んだゴブリンの攻撃を防ぐ。


ゴブリンの小柄さゆえに油断していたのだろう。
細い腕からは想像のできない力で弾かれた。

大きく開いたフラメイの隙を逃すまいと他のゴブリンが追撃する。

rabbit1923

ギュエエッ

ギュエィ

ギュエッエー!

【フラメイ】

(不意討ちさえ受けていなければ……!)

崩れた態勢は簡単には直せない。


ゴブリンはリザードマンほど頭が良くなければ、ワーウルフほど素早くはない。モンスターの序列に置いて最下層の代表とされる彼らはしかしモンスターである。

冒険者にはとるに足らなくとも一般人を殺傷するには十分な力を持っている。

rabbit1923

【フラメイ】

(まずい……!    押しきられる!)

【イワンヌ】

「…………!!」

ギュエエ!?

ゴブリン数匹がフラメイの視界から消える。


目の前には右手を突きだした態勢のイワンヌが立っていた。

rabbit1923

【商人】

「フラメイ!    無事か!?」

【フラメイ】

「は、はい!」

【商人】

「イワンヌは半不死の岩《ゴーレム》じゃが所詮、外を知らぬモンスターじゃ。長くは持たん」

【商人】

「イワンヌが助太刀したのはわしの指示じゃない。イワンヌに礼を言うんじゃぞ」

【フラメイ】

「はい!    ありがとうございます」

フラメイはケースから獲物を取り出すとケースを商人に預け、走り出す。


見るとイワンヌに殴り飛ばされたゴブリンは既に起き上がり、イワンヌは囲まれていた。

rabbit1923

【フラメイ】

「イ、ワンヌ!!」

【イワンヌ】

「…………ッ!」

【フラメイ】

「屈め!」

ドルンッ!ドゥルルルルルン!

フラメイはイワンヌを囲うゴブリンの輪に飛び込むようにして跳んだ。


空中で獲物を構え、紐を引いてエンジンをかける。
小刻みに震えながら刃を回転させる。
そしてフラメイは回転させたチェーンソーで薙ぎ払った。

rabbit1923

ギュエ――ッギェエエエエエ!!

【フラメイ】

「あああああ!」

飛びかかろうとしたゴブリン三匹の身体が横一線にチェーンソーに引き裂かれる。

rabbit1923

……ギャァァ

ゴブリン達はフラメイが着地するまでの間に仲間が殺られたことを瞬時に理解し、殺気顕に間合いを取り陣を組んでいた。


七匹のゴブリンが横二列に正面・上空に構えている。その後ろにゴブリンの中でも一際細く小さいゴブリンが二匹、木の杖をこちらに向けている。

rabbit1923

【フラメイ】

「上から行っても囲まれるなら正面突破するしかないな」

フラメイはゴブリンの前衛との距離を一直線に縮め、目の前の敵を次々と斬り伏せる。


前のゴブリンを半数近く薙いだ頃、異変は起きた。

rabbit1923

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