マジカルミュージック

圭の告白と歌音の想い人の正体

エピソードの総文字数=2,226文字

    その頃、隣の部屋で明里が悠とイチャイチャしているのに対して、歌音と圭は修羅場になっていた。

    正気を失った圭とそれに恐怖を覚える歌音の抗争戦が勃発していた。

ひゃぁぁぁ!!    圭くん、やめて!!    本当にこれ以上はヤバイから!!
どうして俺の事拒絶するんだよ!!    歌音は俺の事どう思ってんだよ!!    逃げてないで答えろよ!!
だって、今の圭くんはおかしいからに決まってるでしょ!!    逃げろ、って本能が言ってるのよ!!
そんなのどうでもいい!!    いい加減俺に向き合えよ!!    答えを出せよ!!
    歌音は、部屋中を逃げ回っていた。それを追いかけ回す圭の様子は明らかにおかしい。歌音は、恐怖に戦くしかない。

    しかし、それも遂に終わりを迎えてしまう。

きゃっ!!
    床に散らばっていた大人の玩具に躓き、バランスを崩し、ベッドの上に倒れこんでしまった。
    歌音は、起き上がろうと必死でベッドの上でもがいた。

    しかし、圭はそれをさせなかった。

捕まえた
っ……
    妖艶な目をした圭が目の前まで迫っていた。手も圭の手の力で押さえ込まれ、身動き一つとれなくなっていた。

    どうしてこんなことになってしまったのであろうか……。

    歌音の不手際が原因なのか圭の狂気が原因なのか歌音も分からなくなっていた。

もう逃がさないからな。俺の大切な歌音……
な……何言ってるの!?    私は、圭くんのこと友達として好きだよ!!    それだけじゃダメなの?
ダメに決まってるだろ!!    俺は「友達として好き」ではなくて、「異性として好き」の方なんだよ。何年も待たせるな……
「異性として好き」?    分からないよ……。私には分からない。圭くんのことは好きだけどそれ以上でもそれ以下でもないの。それだけは分かってくれる?
もう待ってあげられない。何年もお前に俺の気持ちを踏みにじられてやっとこの時が来たのに……
    歌音は、圭の言った事に疑問を覚える。踏みにじっていた?    どういう事なんだろう、と。

    圭の手が震えている事に歌音は気づく。歌音は、圭に手を押さえつけられていて動かすことが出来ない。どうにかして圭の手の震えを抑えてあげたい、と思う。

   しかし、今の歌音にはどうすることも出来なかった。

圭くんは、何が怖いの?
俺は、……
私は、みんながいなくなるのが怖いの。圭くんが正気に戻ってくれないのも怖い
俺は、ずっとお前が好きなんだ。あの鉄道事故で出会った時から……。だけど再会した時、お前は俺の事覚えていなかった
でも圭くんの好きな人って香苗さんじゃなかったの?
香苗はただの幼馴染だ
えっ?    それってどういう事かな?    その前に圭くん、私を解放してくれないかな?
嫌だ……。今手放したらお前はまたいなくなってしまう……。だったら、俺はお前を手にいれる為なら何でもしてやる
じゃあ、圭くんは私に何をしたいの?
俺は、お前とあんなことやこんなことをしてみたい。でも、俺は今呪われているのかもしれない
    圭の口にした「呪われているのかもしれない」という言葉に歌音は疑問を抱く。触れてはいけないものに触れてしまうのではないか、と少しの恐怖と好奇心を感じた。もしかすると圭は何者かとの接触があったのではないか。

    歌音だけが圭を救うことが出来る。悠と結愛・明里でもない。いくら生まれた時から一緒にいようが、昔からの幼馴染であってもパートナーである歌音だけが圭を救うことが出来る。

ねぇ、圭くん
何だ?    俺の事拒絶してもいいんだぞ?    本当は俺だってこんなことをしたくなかった。歌音の事が好きすぎて……
私は、圭くんのこと拒絶しないよ
本当か?
私は、誰も拒絶したりしないよ。だから、そんな顔しないで。圭くんは元気が取り柄なんだから……
そう言われると俺も安心する
    先程より圭の表情が落ち着いてきたのを歌音は確認した。

    しかし、圭の告白は歌音にとっては驚きだった。

    「あの日からずっと好きだった」と圭に言われた歌音は混乱していた。

    歌音の好きな人を思い返す。頭の中には、先程圭に告白された事しか頭に残っていないのと何よりも圭の顔が近い。視線と視線が一直線にぶつかり合う距離にある。唇同士が触れてしまいそうな距離。十センチぐらいの距離。

    歌音は、それだけで何も考えられなくなった。

歌音にお願いがあるんだ
何?    圭くんさ、今とんでもないこと考えてるよね?
やっぱりバレてたか。このまま歌音の全てを奪い去りたい、とか思っちゃって
結愛ちゃんと勝己くんの件……忘れちゃったの?    取り返しのつかない事になるんだよ!?
でも、俺は歌音がいいんだ。だから、歌音……キスしてもいい?
……
    ようやく歌音は気がついた。圭が好き、だということに。

    甘い声・吐息さえ愛しく感じてしまう。こんなにも好きになった人はこれまでにいない。

    こんな時は、何て言えばよかったんだっけ?

    こんなにも大好きな人を死なせる訳にはいかない。甘い香りに誘われる蝶とは、こういうことなんだろう。NOとは、言えなくなってしまう。

    歌音は、心に決めた。

良いよ、圭くん。だって、私も圭くんのことが好きなんだから!!
    羞恥心……そんなのもう知らない。歌音は、普段よりも大声で愛を叫んだのであった。

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