『みじょかもんの祈り ー 心の貧しい人は幸い? ー』

03. 「罪悪感と下からカメラ〜。」

エピソードの総文字数=2,515文字

ギュルギュルギュルーーーと音が鳴り、痛みを堪えながら便座に座る。

「はぐぅぅーーー・・・・」

腹部に何か大きいものが詰まって残ったような気がした。
気がしたのは、本当にあるのかどうか分からないからである。
出そうと思っても出ない。

汚い話になる。

血と共に、透明な粘液がトイレットペーパーを汚した。

他に何も出てこない。

ただただ、何かが腹部に残っている感覚だけ。

「きっと、またトイレに行くことになるだろう」ということは、便座に座った時から分かっていた。

座ってても仕方ないので、トイレから出る。

ドアを開けて、ベットに寝ようとすると、ギュルギュルギュルーーー。

「ああぁ・・・またかよ・・・ぉぉ・・・」

その後のトイレも、血液と粘液だけしか出なかった。

もう、何のために便座に座るのかも分からなくなってしまった。


「学校を休ませてもらおう・・・」。

罪悪感・・。

大きな罪悪感があった・・・。

自分が担当している授業を、他の先生にお願いすることになる。

たいていの場合、快く授業を引き受けてくれる先生はいない。

「仕方ない。私、行きます・・・。」というように、担任か、たまたま空いてる先生が引き受けざるをえなくなる。
そんな空気が職員室中に流れるのだ。

他の仕事も残っている。

「新任にも関わらず、休みをもらうなんて・・・迷惑だ」という他の先生の目を気にした。

病気明けは、辛い。

しかし・・・どうにも・・・目に見えて症状が出ているのだ・・・。

我慢できなかった。

病院に行かねば。

いや、行かせて下さい、お願いします。

意を決して携帯電話を握る。
学校の番号を、震える手で握り、震える指で操作する。

これが緊張だったのか、腹痛からきてるのか分からなかったが、「激しく震えた」という状況は記憶に残っている。

朝の8時をまわる前に学校へ連絡した。
学校は、8時過ぎてしまうと生徒からの欠席の連絡とかで電話が混むことがあるからだ。

まず事務室に電話が通り、そのあと、教頭先生に繋げてもらう。
教頭先生へ病状を説明しながら、「申し訳ありません。申し訳ありません。すみません・・・。」という気持ちでいっぱいだった。

どうにか、話し終える。

電話で、こんなに苦労する日が来るとは思わなかった。

これで1日が終わったわけではない。

これからが本番だ。

病院へ行かねば!。

自分の症状をネット検索し病院探しをする。

「血の混じった便、急激、腹痛」

・・・消化器内科がヒットした。

自分の住んでいる場所近くの消化器科の病院を探そうとするも、自分が、どの辺の住まいかを把握していなかった。

「ここ、どの辺??」
仕事のことばかり頭がいってしまい、私生活のことを放ったらかしにしていたツケが出た瞬間だった。

「はあぁ・・・。」とタメ息をつきながら、この辺の地図を地元紙などから探すことから始めた。

今のように、google検索で、現在位置と周辺病院がヒットするなんて、この頃は夢にも思わなかった。

近くの病院が開くのは、9時からだったので、1時間近く間がある。

それが、たまらなく長ーく感じた。

人というのは、考える時間があればあるほど、悪い傾向にばかりいくのは何故だろうか。

「自分の病気が深刻だったら、どうしよう・・・。」

「ああぁ。。。周りの先生に、どう思われるだろうか。」

そんなネガティブなことばかり考えてしまう。

病院が開くのが近づくと、ゆっくり立ち上がり、身近にある服を取ってヒゲも剃らずに外へ出た。
オシャレなんて、関係ない。

どうにかこうにか病院に入る。

看護師さんから、問診票と体温計を預かる。
「問診票を書くよりも、この数分を診察にあててくれーー・・・」と考えていた。

やっと、順番が回ってきた。
お医者さんから問診を受け、腹部に手を当てられる。

しかし
「内視鏡検査をしてみないと分からない」

これが、お医者さんの初めての診断結果だった。

「・・・」

どうしたら、いいか分からなかった。
ようは、お尻に内視鏡を入れて、中を見てみないと薬も出しようがない。

それまでは、我慢しなければならないということだからだ。

ちっぽけなメンタルの私は、不安で押し潰されそうになる。

・・・すぐに病名を知りたい。安心したい。

症状から、おそらくの予想を聴かせてもらった。
聞き慣れない病名だった。

どちらにしろ、今現在はお医者さんの目でハッキリ確認しなければ分からない、ということが分かっただけだ。

ガックリと肩を落としながら、その日は仕方なく会計を済ませた。

看護師さんの説明を長い時間聞いた。
内視鏡検査の前には、下剤を大量に飲まなければならない。
それにも手順があって、しっかり大腸内を綺麗にしなければ意味がない。

内視鏡検査は、予約制だった。

「明日すぐに・・・」というものではない。

早くても5日ほど待たねばならなかった。

痛み止めと整腸剤を処方してもらった。

が、たいして効果はなかった。

食欲が減退、ベットとトイレを何度も何度も往復する日々を過ごす。

その5日間、学校に連絡する。
やはり、「新任が、こんなに休みを取るなんて」と思われているだろうか・・・。

体の痛みと不安で、数日間を過ごしていた。

内視鏡検査は、大変痛いものだった。
個人差はあるらしいが、私と内視鏡の相性は最悪だ。

下から蛇のような機械を、大腸の奥まで入れていく。

こんな人工物を入れるなんて、自然界の中ではあるわけない。

奥へ奥へと行くたびに、大腸の膜を、引っ掻き回されるような気分がした。

「うぉーー・・・破れるぅぅ・・・」

破れるわけないのだが、ドスドスッと内側からのエルボーで瞳から涙が出る。

圧迫されたような感覚になる。

首を絞められたような・・・。

終わった時には、背中で汗がいっぱいになっていた。

そうして、診察室に呼ばれ、検査の結果が出た・・・・・。

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