ソラミミ×DIAMOND

わたしは夢の空で象を産む(3)

エピソードの総文字数=1,192文字

 雲の隙間から下の空を見てみる。遥か下の下。薄っすらと見える大地の影。そこに、なんだかおかしな奇形じみたパレード。
 その映像が、みるまに近づく。
 踊っているのはピエロじゃない。見たこともない、頭の禿げたきっかいなどうぶつたちがぴょこぴょこ飛び跳ねていて、見ればどれも手足の数がおかしい。三本しかなかったり、五本あったり、手足そのものがなくて体ごと跳ねていたり、頭がなかったり。
 ああ、こんなもの、見てて気持ちのいいものではない。それどころか一体何だって言うのだろう。
 あんなのはわたしの飛ぶこの空にはいてほしくない。
 あれもパレードだって言うのなら、あんなのといつか戦うのかしら。
 そう言えばあのパレードに、象はいないみたいだな。今日は何も見つからない。
 そう思ったとき、いつの間にか手に何か握っている。容易に開きそうもない。いつの間に手に入れたのだろう。これ……持って帰れるかしら。
 でも、何だろう。何か、重い……。
 気分も、沈む。
 そのとき、奇妙に明るい音楽がどんしゃかどんしゃか間近で聴こえていた。さっきのパレードだ。
 はっ。うわ。わたしの周りでいつの間にか踊っている。寒い。寒気がする……
 どうぶつというかまるで、人間じみた、人間のなり損ないのようだ。わたしを、仲間に誘っているのかな。わたしもあんなのになるっての。ああ……とても、寒い。ああ手が、だめ。重い。パレードはわたしの周りを囲んで円を縮めるようにどんどん、近寄ってくる。
 ああ、来ないで……見ないで。まるで何かが生まれるように、わたしの手のひらがちょっとずつ開き始める。重い……寒いのに、熱い。熱が出ているのかもしれない。なのにどこか、快感だ。何かを産むっていうのはこういう感覚なのか。うっ。
 ぱぽー。
 象。
 わたしの手のひらから、象が飛び出してくる。
 えも言われぬ感覚、感情。
 小象だ。だけど前のよりまだ大きい小象だ。パレードのはしゃぎが一層大きくなる。囃し立てる。はあ……象を出し終えたわたしは、その場にひざをかかえてうずくまる。禿げたどうぶつたちが、いやらしい目でわたしを見てくる。
 象はもらっていくぞ? 馬鹿な。それは、わたしの小象だ。渡すもんか! 去れ、去れ。汚らわしいパレード、この小象はパレードなんかに渡しはしないのさ。
 わたしは涙を流して、小象に頬をすり寄せる。
 だけど、なぜ。象は行ってしまう。パレードについて、行ってしまう。わたしはなのに、ひざをかかえたまま、動くことができない。なんて寒いパレード。行ってしまえ。ああ。……
 目が覚めると、そこには小象がいる。
 おまえ、大きくなったねえ。
 この象……わたしが、掴まえた。わたしがこの手で……生み出した象なの。
 けれど宝石なんかじゃない。それに、あんな汚らわしいパレードのなかで、生まれた。わからない。どういうことなの。
 小象。一体、おまえは……。

◆作者をワンクリックで応援!

2人が応援しました。

◆コメント欄は未記入でもOK! 公開されないのでお気軽に。

ページトップへ