黄昏のクレイドリア

6-5

エピソードの総文字数=583文字

…………。
確かに、この崖から塔へ渡ることができるなら、
塔に侵入することも可能かもしれないぜ?

でもさ――――
どうやって
此処を越える気なんだよ?
崖の下を覗いていたセシルは
困惑した様子で、カノンへ視線を送った。
それもそのはずで、セシルの目からすれば、
常人の跳躍では不可能な距離だったからである。

普通に跳んだ場合の、3倍の長さはあるだろう。
セシルはそう考えた。
でも、
魔石の投擲は可能な距離よね
いやいや……だからそれができたところで、
そもそもカノンが塔に行けないと
意味ない作戦だったよな?!
大丈夫よ
大丈夫、って……
こんな距離、空でも飛べやしないと
まぁ見てなさいって
??

カノンが言葉を告げるや否や、

風が木々をざわめかせながら、

彼女へと風が収束し始める。

セシルが瞬きから瞼を開けたときには、

それまで彼女が纏っていなかったはずの、

白の衣を身に纏っていた。

な……ッ、
"なんだそれ?!"と大声で叫びかけたが、
すんでのところで手でおさえた。
セシルが呆気に取られている間に、
カノンはわずかに助走をつけてから、
崖から塔の天辺まで ひらりと渡って行っていた。
(魔巧具の類か?!
 もしかすると アーティファクトかも、
 いや……)
(……今はカノンの動きに集中しないとな)

石を投擲するだけの役回りとはいえ、
タイミングが重要だ。

合図を見逃さないよう、
夜の帳が落ち始めた景色の中で、
セシルは眼を凝らした。

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