勇者の武器屋

第三七話 回収困難、多発中

エピソードの総文字数=1,417文字

失礼します、武器屋『ドリームアームズ』です。

旦那さまはいらっしゃいますか?

武器屋? 何の用かしら? あんた、武器屋ですってよ。

ギクッ

いつもお世話になっています、ペコリ。

先日、魔法剣スリーパーをご購入いただきましてありがとうございます。2ヶ月目までのお支払いは頂いているんですけど、先月はまだお支払い頂いていないようでしたので、こうして足を運ばせて頂きました。

魔法剣? うちの人がなんか自慢げに持ち歩いてたあの細い武器かしら?

分割払いでご購入頂いたんです。10ヶ月で完済する商品で、先月分がまだお支払いされていないことを確認してきたのですが……。

契約書も締結してご購入頂いているので、もしお支払いが滞るようなことになりましたら、契約条項に則って対処させて頂くことになります。

あんた、さっさと払いなさいよ。毎月小遣いを渡してるでしょ?

そ、それがその……。

困った人ねぇ。ごめんなさいね、うちの人がこんな風で。さっさと払うから、借金取りみたいなことはヤメてくれない?

かしこまりました。お話がわかる奥さまで助かります。

こういうことって近所に聞こえが悪いからね。それに、うちの旦那は王都でレストランを経営してて、なかなかの評判なのよ。お金がない家じゃないんだし。いくらの分割払いなの?

旦那さまにご購入頂いた製品は、魔法剣スリーパーでございます。9万8000Gの分割払いとなっておりまして、1万8000Gの決済は終わっているんですね。残りは8万Gとなりまして、先月分のお支払いが1万Gとなっています。

は? 9万8000G……? 残り8万G……ですって……?

あの……奥さま……?

冗談でしょ……?

い、いえ……なんだかゴメンなさい……でも冗談ではないんです……。ご購入前には何度も武器を取って確認してもらい、ちゃんと契約書も結んだ上でのお取引ですし……。

私らが持つ武器で10万Gなんてあるものですか! 騙したのね!?

ちっ、違います……。魔法剣としてはかなりお安いものですし、原価もかなり高いものなんです。これでも、『ドリームアームズ』としてはかなりギリギリの値段設定をしていまして――

そんなご託はどうでもいいの! 8万Gなんて払えるわけないじゃないの! どこにそんなお金があるものですか!

あうあう……。でも契約書が……。

あんた、また私に内緒で無駄遣いを……! なんてことをしてくれたの!?

無駄じゃないって! だって魔法剣だぞ!? 一生手にすることなんてないと思ってたのに、10万G以下で販売してて……それが分割払い可能っていうから……。

払わなければどうなるっていうの!?

あのっ、えっと、王国商業法に基づきますと、破産申請していただき……旦那さまには10年間の労働義務が課されて……。

うちのバカ旦那を奴隷にでもして、好きなように強制労働させなさい! もう一生戻さなくていいから!

バカな! 俺は月収2万Gを越えてるんだぞ。普通の人より豊かな生活を送らせてやってるはずだ。月1万Gくらい……。

あんたなんか出ていきなさい! これからレストランは私が経営するから!

何だと!? 言わせておけば……!

うるさい! 契約を結んだってのはうちの人でしょ! 私には関係ない! さあ、うちの人をどこにでも持っていきなさい!

あうあう……。

なんなら武器を回収していきなさいよ! その代わり、1ヶ月目と2ヶ月目に払ったっていうお金はこっちが回収させてもらうからね!?

あううううう……。

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