星さがしのミリフィエール

オーディション当日

エピソードの総文字数=1,572文字

 それから一週間後。ミリフィエールはリタに付きそって、オーディション会場にいた。
2017/11/06 15:36
 審査員席には著名(ちょめい)な演出家や作曲家をはじめ、歌姫・ステラが、それぞれの歌い手のパフォーマンスに耳を傾ける。
2017/11/06 15:36
どの子ねこちゃんもカワイイわねぇ~じゅるり、食べちゃいたぁい♪
2017/11/06 16:02
ステラさん、恐ろしいこと言わんでください……
2017/11/06 16:03
うう、緊張してきたわ……
2017/11/06 15:37
大丈夫です、リタ! あれからたくさんたくさん練習しましたもの!
2017/11/06 15:37
ミリフィ……
2017/11/06 15:38
リタ、笑顔です!
2017/11/06 15:38
(……そうよ、自分が楽しまなきゃ、きっと相手にも届かない。歌の世界観を大切にしながら……。信じるわ、自分を!)
2017/11/06 15:38
次は、11番のリタ・ディオールさん。お願いします
2017/11/06 15:39
……はい!
2017/11/06 15:40
(リタ、応援しています……!)
2017/11/06 15:40
 舞台の中央に立ち、束の間、目を閉じていたリタはやがて、高らかに、少し切ない旋律を歌いはじめた。
2017/11/06 15:40
 曲は、かつて、歌姫ステラを敬愛するきっかけになった『ひとりぼっちのカナリア』。
2017/11/06 15:41
(この曲は、他者の心を信じられないカナリアが、それでも誰かを愛したくて、誰かとつながりたくて……一生懸命もがきながら、世界に語りかける歌)
2017/11/06 15:41
(アタシは、このカナリアのことを理解しようともせずに……メロディを外さないように、それらしく聞こえるように……上辺(うわべ)だけを取りつくろっていた)
2017/11/06 15:41
(でも、ミリフィは……そんなアタシでも丸ごと受けいれて、寄りそってくれた)
2017/11/06 15:42
(届けたい。この、ひとを信じる喜びを――!)
2017/11/06 15:43
……!
2017/11/06 15:43
……ありがとうございました!
2017/11/06 15:43
 歌いきったリタの頬には、自然と、感謝の涙が伝っていた。
2017/11/06 15:44
***
2017/11/06 15:44
えー、大変お待たせしました。審査結果を発表します。合格者は――6番の、ナターシャ・グリモワールさん!!
2017/11/06 15:45
……! そんな……。
2017/11/06 15:45
 心配そうにリタを見やるミリフィエールに対し、リタは、清々しい顔で合格者に拍手を送っていた。
2017/11/06 15:45
……いいの。今日は熱くなりすぎちゃったし。付け焼き刃でどうこうなる世界じゃないのは、わかっているから
2017/11/06 15:46
リタ……
2017/11/06 15:47
アタシ、もっと(うま)くなってみせるわ。歌にこめられた気持ちを、もっと大切に伝えられる方向へ、ね
2017/11/06 15:47
 リタが決意を示したそのとき。一際(ひときわ)澄んだ、それでいてちょっと間の抜けたような声が、オーディション会場中に響きわたった。
2017/11/06 15:48
はいは~い、オーディション参加者の子ねこちゃんたち、注目ぅ~
2017/11/06 15:48
(! ステラさん!?)
2017/11/06 15:49
ステラお姉さんはねぇ、11番のぉ、リタ・ディオールちゃんに特別賞をあげちゃいま~す!
2017/11/06 15:49
!?
2017/11/06 15:50
ちょっと、ステラさん! 貴女(あなた)はまた勝手に……!! それに“お姉さん”って、貴女(あなた)もう、今年でさんじゅうは……
2017/11/06 15:51
あ?
2017/11/06 15:53
ナンデモアリマセン
2017/11/06 15:54
 ステラは刹那(せつな)、獲物を狩るような眼差(まなざ)しを見せたが、すぐにまた、ふにゃりとした柔らかい笑みを浮かべた。
2017/11/06 15:54
ふふふ、未熟なところも多かったけれど、ステラお姉さん的には、一番胸にずっきゅーんってきたのよねぇ♪歌は、伝えたいと思う気持ちが何よりも大事なの。……それを一番わかっていたのは、あなたよ。リタちゃん
2017/11/06 15:55
……!! 聞きましたか、リタ!
2017/11/06 15:57
う、うそみたい……
2017/11/06 15:57
(ちゃんと心が、届いていた。憧れのステラさんに!!)
2017/11/06 15:57
ふふふー、ステラお姉さんも、うかうかしていられないわねぇ♪
2017/11/06 15:58
(わたくしにも、しっかり伝わりましたよ、リタ。あなたならいつかきっと、ステラ様と肩を並べられる日が訪れます……!)
2017/11/06 15:58
 うれしさのあまり泣きじゃくるリタの背中を優しくなでながら、ミリフィエールは、強い意志をこめて紡がれていたリタの歌を、思いだしていた。
2017/11/06 15:58
***
2017/11/06 15:59
 リタと再会を約束し、都を後にしたミリフィエール。
2017/11/06 15:59
 森を少し歩くと、懐かしい気配に立ちどまる。
2017/11/06 15:59
…………ホシミカミ、様?
2017/11/06 16:00
お疲れ様だったね。ミリフィ
2017/11/06 16:00
 樹上(じゅじょう)から、軽やかに降りたったのは、会いたくて仕方のなかったかつての主人……ホシミカミであった。
2017/11/06 16:00

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