黄昏のクレイドリア

20-4

エピソードの総文字数=791文字

<とある薄暗い路地にて>

……ったく、

いい加減話してもらわないと

気が済まねぇぞ……。

苛立った様子で、

石にしきりに指を立てて

カチカチと音を鳴らしながら、

相手からの応答を待つ。


しばらくすると、

石はひとりでに、ぼんやりと光を放った。

ヒドゥンか。

なんだ。

おっ、

繋がった繋がった。

……おいオーナー、ターゲットに

嫌がらせはできたけどよぉ、

あの森が"惑いの森"とか言う

いわくつきの森だなんて

聞いてなかったんだがなぁ?

なんだ?

情報を集める事も

お前の領分ではなかったのか。

(その通りだが……、

 それをするだけの猶予を与えずに

 すぐさま森に向かえって言ったのは

 そっちだろうが)

悪態を内心にとどめながら、
ヒドゥンは言葉を続ける。
まぁそれはそうなんですが、
まさか2週間も森に
拘束されるだなんて
思いもしないじゃないですかぁ。

知っていたのなら一言そう
言葉を付け加えて頂いても
よかったのでは?
2週間?
そう、2週間!
おかげでオーナーにも
報告が遅れたわけでぇ。
困るんですよね、そういうの。
こちらにも都合があるんですよ
報告をすっぽかしていた
わけではなく、
森に2週間拘束されていたのか
だーかーら、
さっきからそう言ってるでしょうよぉ。
なんとか森から出られたから
よかったですけどね、あの森には
散々惑わせられましたよ文字通り
…………。
オーナー?
……予定変更だ
標的の監視は続けるが、
命を取ることについては
保留にしろ。以上だ。
はい?

ちょっとオーナー――――

我が耳を疑い、

呼び掛けながら石を見遣るも、

既に明滅は止んでいた。


"これ以上話すことはない。"

一方的に話を終える際の

オーナーの決まり文句であり、意思表示だった。

……やれやれ、相変わらず

横暴なオーナーだぜ、まったく。

は~~、

エミリーやジェーンに

何て説明すっかなぁ……。

大きくため息をつき、
頭をかきながら
ヒドゥンは薄暗い路地を後にした。

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