騎士と魔法使いのお話

待ち合わせ

エピソードの総文字数=1,704文字

ここは冒険者達が集う街。
冒険者達はこの街で日常を過ごし、冒険の準備や装備を整える。
そして依頼があれば冒険へと出発して行く…のだが、冒険者だって暇な時はある!

これはとある冒険者ペアのゆるりとした日常を語る物語である……

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むむぅ、少し遅れてしまった……
(そんな事を呟きながら少女は道をてっこてっこと走って行く)
(空は快晴、何をするにも最適の日)
ん~今日は本当にいい天気、どんなデートになるか楽しみ♪
…わ、私、今デートって言った?言ったよね?わわわ……
(自分の発した言葉に真っ赤になる少女。手をぶんぶんと振って恥ずかしさを打ち消そうとするが……)
…あ
(道行く人達からの驚きの視線に気付けば肩を竦めて小さくなってしまう)
(それでも少女は足を止めずにてっこてっこと走って行く)
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公園に到着―♪うん、約束の時間には間に合った、セーフ!
さて、来てるかな…?
(ぴょんっと一跳ねして少女は公園の敷地内へと足を踏み入れ、両手を左右に広げ)
(公園のシンボルでもある時計塔を見上げると、間に合ったのを確認して再び歩きだした)
 

………
(噴水を臨むベンチの前にその少女の姿はあった)
(黒髪の少女はベンチに腰かけたまま空を見上げぼんやりとしている)
(その姿はまるで人形の様でもあり……)
おまたせー♪ セーフだよね、間に合ったよね…?
…って、何見てるの?
(黒髪の少女の側まで走って来ると
息を整えながら話しかけ、そして黒髪の少女と同じ方向に視線をやった)
……雲…見てた……
(黒髪の少女は気配だけで声の主を察すると、短く区切る様に言葉を返した。)
(視線は空を見上げたまま、どこかふわふわとしていて。)
んー?雲?
(そう言って見上げた先にある白い雲をじっと注視した)
……あ、あの雲なんかカレーパンに似てる!
(ぷかぷかと浮かぶいびつな楕円形の雲に少女はそんな感想を告げた)
(…けっしてここに来る前に食べたからでは無いぞ!)
……うん、似てる……
あっちはフランスパン…かな…? こっちは…えっと……チョココロネ…?
(細く長い雲にうねる様な三角の雲)
(小さく首を傾げると視線を降ろし、話しかける少女の方へと視線を向けた)
(表情の変化は少ない、それでも先よりも緩んでいる様に見えて)
うんうん!あれはドーナッツ!
(真ん中に丸い穴のあいた雲。空のパン屋さんそんな事を思う。)
こう見ると雲の形もいろいろだね?あ……
(黒い髪の少女に視線を戻すとにっこりと微笑んだ。)
(…直後、お腹が鳴った。)
……お腹…空いてるの…?
(黒髪の少女は短く問いかけると小さく首を傾げた)
あーえっとー………
(黒髪の少女の問い掛けに少女は指で頬を掻きながら口ごもってしまう)
(やはりお腹の音を聞かれるのは恥ずかしいもので、その顔はトマトの様に真っ赤だ)
………
(黒髪の少女は視線を外さずに返答を待っている)
(黒い髪だけがさらさらと風に揺れている)
食べては来たんだけどねー
(少女は照れ隠しする様にそう答えた。)
(黒髪の少女に隠しごとは出来ない、それを良く知っているから。)
…じゃあ何か食べに…行こうか…?
(黒髪の少女はそう言って立ち上がると、髪と同じ様に黒く長いスカートの埃を払った)
(そして照れる少女の方へとそっと手を差し出した)
うん、行こう!魔法使いちゃん
(差し出された手を握ると、にっこりと微笑んだ)
(少女の動きに合わせ肩まで伸ばした金の髪が風にふわりと揺れた)
…うん…騎士ちゃん……
(同じ様に返事を返すと、小さいくコクリと頷いた)
(やはり表情は変えぬまま、それでも目元はどこか緩んだ様にも見える)
そして二人の少女は手を繋いだまま噴水前のベンチを後にした。
二人のデートはまだ始まったばかり、今日がどんな一日になるのか……
次節に続く……

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