黄昏のクレイドリア

プロローグ

エピソードの総文字数=382文字



闇の帳は、突如として舞い降りた。



日の落ちた闇の中、一度はその正体と

現実味のない得物を捉えたというのに、

その猶予こそが油断を招き、

相手の好機となっていた。


死神を連想させる巨大な鎌を見て、

そう俊敏には動けないだろうと

判断したところを突かれたのだ。


そうして判断を誤った自身の首には、

溶けるように姿を消した鎌の代わりに、

ナイフの刃が立てられていた。

…………。
…………もう一度言う。

このまま喉を裂かれて死ぬか、

俺と契約して生き存えるか…………

選べ。

今すぐに

皮膚が裂け、あてられた冷たい刃と

熱を持った雫とが、

相反する温度を首筋へ伝える。


最早、自身の生死は

襲撃者の手の内にあった。

………………。
あたしは………………

極限の選択を迫られているせいなのか、

他人事のように彼女の脳裏に

過去の記憶が浮かび始める。


それらは皮肉にも、

自身が忌み嫌う『異名』を賛美する詩と、

数日間の記憶だった。

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