複垢調査官 飛騨亜礼

最強の盾、最後の刀撃

エピソードの総文字数=2,139文字

「ワールド最強の防御力を見せつけるわよ。 全機、10分間だけ持たしなさい!」

 神楽舞は鈴のなるような声で≪悪役令嬢≫同盟150機に号令をかけた。
 だが、たった三十分で鬼虎隊のメンバーが半減した様子を見ていたら、五分持たすだけでも至難の技だとは分かっているようだった。

「舞さん、お願いします」

 メガネも声をかける。

「お姉さんたちに任せなさい!」

 ≪悪役令嬢≫同盟の同盟員からは私たちそんな歳じゃないわという不平も聞こえて来そうだが、今日の舞はメガネには頼もしかった。

 メガネをはじめ、飛鳥、<ねじまき姫>、ハネケ、夜桜の十二聖刀使い、鬼虎隊の残存部隊約150機は<攻城刀技>のエネルギーをチャージして、最後の一撃の準備に専念する。

 ≪悪役令嬢≫同盟150機は球状の銀色のエネルギーフィールドを展開して、スカイパレスと彼らをつつみ込んで、しばらく≪八頭龍≫の攻撃を完全に遮断していた。
 <聖刀堅陣>の上位互換技<刀神堅陣>で女神アルテミスを召喚して守りを固める。

 が、時折、ブレス攻撃でエネルギーフィールドの弱点を突かれて数機が一瞬にして蒸発していた。

 そこを二列目の兵力が何とか埋め合わせて、最強の盾(イージス)を何とか維持していた。
 その予備兵力も五分で半減し、すでに破綻は目に見えはじめていた。

「10分経過、もうこれ以上持たないわ。飛鳥、準備OK?」

 ≪悪役令嬢≫同盟の機体はすでに100機を切ろうとしていた。
 さすがの最強の盾(イージス)も予備兵力が尽き、もうエネルギーフィールドを維持できそうもなかった。

「ありがとう、舞さん。みんな、一気にくぞ! <攻城刀技>!」

 飛鳥の号令の下、4つの十二聖刀、<オリハルコン>、<光風剣>、<天羽羽斬剣(あまのはばきりのつるぎ)>、<ねじまき姫>の<聖弓>が解放され、鬼虎隊の残存部隊約150機の攻撃、メガネの<水龍剣>、約8億3200万HP(ヒットポイント)の攻撃が≪八頭龍≫に直撃した。

 さすがの≪八頭龍≫も爆炎と光りにつつまれて、のたうちまわる。
 八つの頭のうち、六つまでが吹き飛び、龍身(からだ)もボロボロになっていく。
 
 しかし、完全に破壊しきれない。
 残りふたつの頭でブレス攻撃を放ちはじめた。

「だめか。あと一撃、十二聖刀クラスの攻撃力があれば……」
 
 飛鳥の口から落胆の声が漏れる。

 ≪悪役令嬢≫同盟の機体は最強の盾(イージス)を再展開するが、銀色のエネルギーフィールドが次々と破綻していく。
 ≪八頭龍≫のブレス攻撃で次々と機体が光に飲み込まれていった。
   
 それでも、飛鳥たちはあきらめなかった。
 気を取り直して、<殲滅刀技>や通常攻撃で応戦していく。
 が、≪八頭龍≫のブレス攻撃で機体の多くが失われていった。
 もう飛鳥たちに打つ手はなく、このまま全滅を待つばかりかと思われた。

 その時、≪八頭龍≫の死角、下方から≪衝車突撃(しょうしゃとつげき)≫をかけるものがあった。
 ≪衝車突撃≫とは攻城突撃のひとつで、<白虎砦>のふたつの牙のような突撃槍が≪八頭龍≫の龍身に深々と突き刺さった。
 <白虎砦>からは≪メガロポリスの虎≫、≪飛鳥≫、≪飛礼≫同盟の兵が雪崩を打って攻撃を仕掛けた。

「間に合ったか!」

 飛鳥は頼もしい援軍の到着に胸をなでおろした。
 が、戦況は混沌してきていて、予断を許さなかった。
 両軍に決め手がなかったが、≪八頭龍≫は未だ健在であった。

 突然、<白虎砦>が火を噴いて大破した。
 ≪八頭龍≫の背後から現れたマリアの<十字剣>で切り裂かれていた。

「これ以上、あなたたちの好きにさせないわ!」

 マリアの真紅の機体が加速し、同盟軍の機体を<十字剣>で次々と屠っていく。
  
「俺が止める!」

 飛鳥は<十字剣>の攻撃をかわしつつ、マリア機に刀撃を浴びせるが、<殲滅刀技>、<攻城刀技>も使えない状態では全く歯が立たなかった。 
 飛鳥の類稀(たぐいまれ)な機体操縦法と体捌きで何とか互角に戦えていた。

(メガネ、この刀を使え)

 メガネは懐かしい声を聴いた。
 だが、空中から黄金色に輝く聖刀が現れるのをみて、その声の主に思い当たった。

「これは、<へし切長谷部>!」 

 <へし切長谷部>といえば、信長が無礼を働いた茶坊主を手打ちにしようとして、逃げ込んだ台所の膳棚ごと一刀両断してしまったというエピソードをもつ。へし切とは押し切という意味でそれほど切れ味が凄かったようだ。信長の愛した三刀のうちのひとつである。

 そして、<へし切長谷部>は十二聖刀のひとつでもあった。

「<攻城刀技>! <へし切長谷部>信長斬り!」

 攻撃力約1億HP(ヒットポイント)の刀撃が≪八頭龍≫に向けて放たれた。
 それは後に奇跡の刀撃伝説となるが、その謎はメガネだけには分かっていた。
 
 



(あとがき)

 「安倍晴明と安東総理のやり直し転生譚」を読まないとよく分からない展開ですが、まあ、こういう小説を書きたいのだから仕方なし。

 

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