黄昏のクレイドリア

18-4

エピソードの総文字数=869文字

クソッ、本当なら

あいつらが入る間もなく

魔術師をやれたのに――――

お前が邪魔したからだぞ、

イーリアス……!

!!

イーリアスの行く手へ、剣戟が閃く。

咄嗟に顕現させた鎌で

それをいなし、相手と距離をとった。

どこにいくつもり?

あんたの最終的な狙いは

あたしなんじゃなかったの?

……五月蠅いな
イーリアス、
五月蠅いって

言ってンだろ!!

!!

……ていうかほんと、

なんなんだよお前

村人が生者じゃないって

わかっても……なんでわざわざ

庇いに行った?

それは…………

誰かが目の前で死ぬくらいなら、

自分の身なんて全く顧みないって?

どこぞの自己陶酔者だよ?

その点、あのガキは賢かったよ。


自らの違和感に気づいて、

最後は兄貴を守るついでに、

生者のお前を

わざわざ庇ったんだからな

…………。
…………、

紛争でも十分

持ち上げられたくせに、

未だに英雄気取りかよ。

常勝の女神

…………!!





(………………何故、笑う)

不愉快だとでも言うように、

カノンへ向かって、

右腕を振って空を切る。


カノンの頬に一文字の血が浮かんだが、

本人は構う様子もなく、

イーリアスを見据え、

変わらず笑みをたたえたまま口を開いた。

いや……、あんたの

最初の雇い主って、

その名前を知ってる奴なんだって、

勝手に納得してただけ

何を……

あんたって、普段は

必要なこと以外話してくれないし、

それですら大事な事を

言ってくれないし……

(何だ?)

だからこうして、

あんたが思ってることを

素直に言ってくれたのって

初めてだと思って、

ちょっと嬉しくなっただけ

(この、妙な威圧感は)

あんたが苛つくのもわかる。

あんたに言われる前だって、

偽善者だの、英雄気取りだの、

陰で散々言われてきた。


でも――――

これがあたしの

呪い《しょうぶん》だから

――ッ!!

追い風を纏い、正面から間合いをつめた

カノンの剣の切っ先が、

地から天へ弧を描き、

イーリアスの目の先へ掠める。


仰け反るようにして攻撃を躱した

イーリアスは、その一瞬、

視界が天を捉えた。

――――、

彼は”それ”を、

他人事のように眺めていた。


空が、殻のようにヒビ割れ、

次々と亀裂が走っていくのを。







そして、

空が砕けた――――

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