マジカルミュージック

第三の曲

エピソードの総文字数=2,200文字

    歌音と圭は、話を聞いていなかった。

    その間に「 吹奏楽フェスティバル 」で演奏する第三の曲が決まっていた。

    やる曲はこれで全て決まったことになる。一曲目はベニー・グッドマン作曲「 sing sing sing 」、二曲目はドミィートリイ・ショタコーヴィチ作曲「 祝典序曲 」、三曲目はマルコム・アノールド作曲「 第六の幸福をもたらす宿 」になった。

    歌音は、唖然とした表情で各パートのパートリーダーたちの拍手を聞いていた。同じく圭もそのようだった。上の空で話を聞いていた歌音も先程の話を覚えていないみたいだ。

2017/10/13 23:08
さっき、何の話をしていたっけ?
2017/10/13 23:22
それ……圭も言ってましたよ。全く、二人揃って何していたんですか?
2017/10/13 23:23
ごめんなさい、悠くん……。とにかく、今日話し合った内容を教えて下さい……
2017/10/13 23:24
はぁ……仕方ないですね
2017/10/13 23:25
    悠はめんどくさそうにため息をついてから、今日話し合いで決まった内容を話し始めた。
2017/10/13 23:25
とにかく、今日話し合ったのは「 吹奏楽フェスティバル 」の曲決めの最終決定事項の変更とリストにあがっていた曲からもう一曲決めるものでした。圭もそうでしたが、歌音さんも「 祝典序曲 」に手を挙げてましたよ? それも覚えてないとか言わないですよね?
2017/10/13 23:26
ごめんなさい、よく覚えていないです。多分、適当に手を挙げました……
2017/10/13 23:29
もうちょっとしっかりしてくださいよ?    歌音さんは、これでもこの楽団のマエストロですよ。マエストロがそんな感じじゃ誰もついてこないですよ
2017/10/13 23:30
うん……分かってる……。ごめんなさい……頼りないマエストロで……
2017/10/17 20:59
謝る必要はありません。僕は、このクラスで最高の音楽を作り上げられれば問題はありません。なので、歌音さんにはしっかりしてほしいのです。全国に行きたいのでしょう?
2017/10/17 21:02
    全国に行きたいのか……。 それは、行きたいに決まっている。しかし、そこに行き着くまでには、強い強敵がたくさんいる。音楽が失われいく世界にも関わらず、この世界には必死に音楽を奏で続けている人たちもいることは間違いない。
2017/10/17 21:16
そりゃ行きたいに決まっています!!    だって、私は皆と一緒に全国吹奏楽コンクールで金賞を取りたいです!!
2017/10/17 21:19
その言葉を聞きたかったのですよ。歌音さんには、僕たちを全国に導けるだけの力があるみたいですから……。とにかく、今は圭の事…… お願いしてもいいですか?
2017/10/17 21:26
分かりました。圭くんに聞いてみますね
2017/10/17 21:33
但し、色恋沙汰問題は起こしたらダメですよ……
2017/10/17 21:37
色恋沙汰?    どういうこと?
2017/10/18 08:50
そのままの意味ですよ。僕は、柏原先生に用事があるのでこれで失礼します
2017/10/18 11:56
    歌音は、悠を見送ることしか出来なかった。

    嫌な予感がする……。空気が重たい。この空気は、誰が生み出しているのかなんて見てすぐに分かってしまった。

    圭が一人で席に座り、大きなため息をついていたのだ。いつもなら昴や夕陽など色々な友人と笑いあっているはずだ。今日は、何故か一人でいる。遠くに昴と夕陽が圭を心配そうに見つめているのが分かった。

    歌音は心配になり、圭に話しかけてみようと圭に近づいた。

2017/10/18 12:34
よぉ、歌音。どうしたんだ?
2017/10/18 12:38
    歌音が圭に声をかける前に、圭に気がつかれてしまったようだ。元気そうな声で歌音に声をかけたが、いつもとは違うように思えた。空元気なような気がして気になった。歌音は、圭に聞こうと勇気を出して口を開いた。
2017/10/18 12:40
圭くん…… 今日は一人なの?
2017/10/18 12:42
今日はそんな気分だから……。何か一人でいたい感じなんだ
2017/10/18 16:32
珍しいね
2017/10/18 16:32
珍しいか?    俺だって一人でいたい時ぐらいあるさ。だって、その方が人間らしくて良いだろう?
2017/10/18 16:33
だよね……。 でも、今日の圭くんは変だよ?    何か上の空だし、曲決めの最終決定の話し合いも聞いてなかったでしょ?
2017/10/18 16:36
やっぱりバレてたか……
2017/10/18 16:38
    圭は大きなため息をついた。

    歌音は、心配そうに圭を見つめる。圭は、沈黙を続けようとしたが、歌音には全て見透かされている事に気がついた。

    圭は観念したのか、重たい口を開いた。

2017/10/18 16:38
ごめん……俺、実はいうと好きな人が出来たみたいなんだ
2017/10/18 16:41
えっ、そうなの?!    それは、とても良いことじゃないの?
2017/10/18 16:42
俺は、その人に思いを伝えたいのだが、その人は鈍感だから気がついてくれないんだよな……。それで悩んでんだよな……
2017/10/18 16:43
じゃあ、圭くんがその人に思いを伝えられるように協力するよ!!
2017/10/18 16:44
はっ?!
2017/10/18 16:45
    圭は、呆気にとられたかのような表情を浮かべ、まるで世界が凍りついたかのように固まった。

    逆に歌音は一人で盛り上がっている。

2017/10/18 16:45
圭くんの恋なら私も応援するよ!!    だって、私たちパートナーでしょ!!
2017/10/18 16:47
あ…… あの…… 俺が好きなのは……
2017/10/18 16:48
もう、圭くん何でそんな大事なこと言ってくれなかったのよ
2017/10/18 16:48
もういいよ……。とにかく協力はしてほしい……。 その前に聞きたいのだが、第三の曲は何になったんだ?
2017/10/18 16:49
ドミィートリー・ショタコービィッチの「 祝典序曲  」になったよ
2017/10/18 16:50
    その曲名を聞いた圭は一瞬笑顔になったが、すぐに寂しそうな表情に戻ってしまった。
2017/10/18 16:51
とにかく、今の俺には出来ないような気がする……
2017/10/18 16:52
どうして最初から出来ないって決めつけているの?
2017/10/18 16:53
     圭は、寂しそうな声で
2017/10/18 16:54
それはだね…… 俺が恋の病を患っているからだよ……
2017/10/18 16:55
    と言った。

    歌音は、その意味を知るのはもう少し先の話となるとは知らず。

2017/10/18 16:56

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