黄昏のクレイドリア

14-2

エピソードの総文字数=677文字

外套を羽織り、フードを目深に被って
雫をできるだけ避けながら、
カノンとディーンは
遺跡を目指していた。
(セシルを守るために
 置いていったけど……、
 イーリアス、ちゃんと
 起きているかしら……。
 ちょっと強く殴りすぎたかも
(……セシルの症状が
 悪化して無ければ
 いいのだけれど……)
…………。
カノンが思いつめた様子でいるからか、
単純に間の悪さを解消したかったのか、
ディーンはカノンに声をかけた。
……もしかして、
カノンは傭兵なのかな
そうだけど……?
あぁいや、女の子の剣士なんて
滅多にみないからさ。
……そうか、その歳で傭兵稼業を……
お互い苦労するな。
お互い……ってことは、
ディーンもそうなの?
あなたはフォレストキーパーなんじゃ
傭兵をやる前に
レンジャーをしていてね。
丁度1年前に、雇い主の意向で
この森のフォレストキーパーに
就くようになったんだ。
へぇ。まぁ確かに……、
紛争が終わってからは、
傭兵の食い扶持なんて
護衛ができればいいところだもんね。
紛争……か。
あれからもう2年が経つのか。
あの時名を轟かせた
"常勝の女神"も、
今もどこかで生きているのかな。
…………。
おっ、見えてきた。
あの遺跡かい?
!!
目的地の寂静の遺跡が
視界に入るなり、
カノンは一目散に走っていく。

(心配なんだろうな、
 無理もない)
…………。
……ん?
遺跡の入り口前で
立ち止まったままのカノンを
不審に思いながら、ディーンも
続いてカノンの横まで走ってきた。
どうかしたのかい?
もしかしてクマと交戦中とか
何もない
え?
何もないの。

イーリアスも、セシルも、荷物も、
あいつらが横たわってできていた
水のシミも……何も。

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