黄昏のクレイドリア

7-4

エピソードの総文字数=1,170文字

とりあえず、あたしが前に出る。
もし戦闘になったら援護をお願い。
オッケー
固唾を飲んで、カノンは
手に持ったランタンを頼りに
闇の中へ目を凝らす。

程なくして、前方から現れた灯と
こちらの灯が交わり、
お互いの風貌が浮かび上がった。
!!
!!
!!
おじいさん達じゃない!
どうしてこんな夜道に?
へ?
なんだよ、知り合い?
おぉ、カノン殿!
ふと窓を眺めていたら……
塔の方角から閃光が見えましてな。
少々気になりまして――――
それは此方の台詞だ!
何故 供犠の塔がある方角から、
貴様が歩いてくる!?
しかも囚われたはずの罪人を連れて……
……まさか、導師の儀式の邪魔を――――
ヘルフ!
あっ……
護衛の青年とそれを諌める老人、
お決まりの流れであったが、
今回は しまった とばかりに
青年は顔を伏せた。
…………導師
まさか貴方、聖教会の……。
…………。
お察しのとおりです、カノン殿。
己の身を明かすために、
ヨールダンは被っていたフードをおろす。
彼の身に着けている蒼の祭服が、
聖教会の人間であることを証明していた。
紹介が遅れましたが……
我々は聖教会の人間でございます。
私は導師ヨールダン、
彼は護衛のヘルフと申します。
(導師ヨールダンって……
 豊穣のアーティファクトを使って
 各地を巡ってる、
 凄腕の魔術師じゃねーか!)
……見るに、どうやら
尋常ではないご様子。
よろしければ、
話をお聞かせ願いますかな?
……わかりました。
カノンは一行にヨールダン達が
敵ではないことを伝えると、
(現場を見てもらうのが早いと考えたので)
再び塔に向かいながら、事の顛末を
当事者である彼女とイーリアスで、
ヨールダン達に説明していた。
――とまぁ、
大方、魔力を得る大義名分に、
不可視の死神とか言う辻斬りの罪を、
俺になすりつけるよう 仕組んだんだろう。
まさか、ギエル殿が……。
俄かに信じがたい話ですが……
知り合い……でしたか
いいえ。教会のツテで
一宿一飯の恩を受けた以外……、
我々とは関係のない方々です。
最初は懐疑的だった二人であったが、
塔に辿り着くと、血塗られた空間を
目の当たりにし、肝を凍らせた。
…………。
おぉ、なんという……
!!
広間に膝を突き、胸の前に組んだ
ヨールダンの手を、
ヘルフが慌てて掴んだ。
何故祈りを捧げるのです、導師!
この場は血が流れています、
戒律に反します!
それに……此処で果てている者達は
己の私欲の為に 我々の儀式を妨害し、
命を弄んだ輩ですよ!?
ヘルフ、
確かに彼等は生前 
罪を犯したかもしれぬ。
しかし……死してなお
魂が縛られ、怨霊となり、
悲劇が繰り返されては……
それこそ救いがないであろう。
なに、今は
ノルファ様もお隠れの時分、
きっと目を瞑ってくださるじゃろうて。
…………。
……導師は人が良すぎます。
青年の反論も収まり、
静まった広間へ、
導師の祈りの言の葉が響いていた。





命を弄ぶ、か。
……耳が痛いな。
…………。

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